第二幕その六
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とはありません」
リッカルドは硬い声でそう答えた。
「それが正義なのですから」
「それはどうだろうか」
だがここで一人の老人の声がした。ジョルジョがこの場にやって来たのだ。
「ジョルジョ殿」
「正義は神と共にある。神の思し召しこそが正義なのではないのか」
「確かにそうですが」
リッカルドはそれを聞いて顔を俯けさせた。
「ですが今は」
「今は、だ」
彼は言った。
「だがそれは変わることができるのだ」
「ジョルジョ殿」
リッカルドはそれを聞いて彼に問うた。
「それは一体どういう意味でしょうか」
「お知りになりたいですかな」
「はい」
「ならば。以前私は卿に言ったな」
「あの時のことですね」
かつて二人で語った時のことを思い出した。
「私達が血の絆を結んだ時」
「その時に我々は固い絆で結ばれた。今その絆の元に言おう」
彼は言った。
「私は今ここに彼が救われたことを宣言する」
「何と」
それを聞いてリッカルドと兵士達が驚きの声をあげた。
「それはどういうことですか」
この時角笛の音が聴こえてきた。テラスのところで数人の使者が姿を現わしてきたのだ。
「ジョルジョ殿、お待たせしました」
「あやういところでした」
ジョルジョは彼等に対してそう言った。
「前の戦いで王党派は遂に敗北しました」
「何と」
「それだけではありません」
使者達は言葉を続けた。
「皆、よく聞いてくれ。彼が許された理由を」
「はい」
皆それを受けて耳を澄ませた。そして使者達に目を向けた。
「クロムウェル閣下はそれを受けて残った王党派に対して恩赦を下されることとなりました。今王党派として罪を問われている者は全て赦されたのです」
「何と!」
それを聞いてアルトゥーロもリッカルドも兵士達も声をあげた。
「それでは私は」
「結ばれることに」
「そうだ」
ジョルジョは二人に笑みを向けてそう答えた。
「そなた達を阻むものはなくなった。これで結ばれることになったな」
「はい」
二人は答えた。
「罪は許された。さあ、もう阻むものはない」
「阻むものはないのですね」
「そうだ。さあ皆祈ろう」
ジョルジョは他の者にも声をかけた。リッカルドもその中にいた。
「二人の永遠の幸福を」
「はい!」
皆それに頷いた。そして二人の幸福と神を讃える声が城の中に木霊したのであった。
清教徒 完
2005・4・23
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