勇者ハルカのレポート
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。
(*1)後のムーンブルクとなる小さな町。ちなみにムーンペタは僕がムーンブルクを建国した後にできた町である。
#3
僕とローラはサマーヴィル(*2)にたどり着いた。
そこに一人の老人が住んでいた。
歳は7、80といったところか。少しやせ細ってはいるものの、顔色は悪くなく、健康そうだった。彼は僕達を小さな洞穴へと招き入れた。
「…なんでしょう?」
「これ、何だと思う?」
老人が手にしたのは、僕も見覚えがある紋章の入った盾。
「あ、ロトの盾、ですか」
僕は初めて見る物なのに、全く驚きも真新しさもなかった。ローラは少し驚いていたようだが。
「その通り。お前さんはロトの勇者じゃろ?なぜ、この盾はお前さんの元へ行かなかったんじゃろうな?」
「さあ。剣、鎧、印は手に入りましたけどね」
僕は老人にそれらを見せる。鎧は実際に身に着けて見せた。
「おお、兜が姿を変えたではないか!」
老人は叫んだ。ただし表情は変えずに。僕のいつも被っている角兜が、姿を変えたのだ。角の部分が曲がり、ロトの紋章の入った、兜。僕はそれを“ロトの兜”と呼んでいた。…ロト様がそれを見につけていなかった可能性もあるので、何とも言えないが。
「すばらしい…おっと、盾の話をしていたな…ほう…盾なしで竜王は倒したと言うことじゃな?」
「ええ」僕はうなずいた。「僕は水鏡の盾を持っているんです、ほら」
老人は表情を変えずうなずき返した。
「ほう…美しい盾じゃ」
「ハルカ、私は不思議に思うのです。なぜ、これはアレフガルドの外にあるのですか?ロト様もアレフガルドの外には出てはいなかったんですよね?確か…」
「上の世界に帰った」
「ええ」
「ロトの盾がここにある理由、か。僕は噂だけなら聞いている。カンタダと言う人物が持ち去ったと言う説だ。ただし、あくまでしか噂でしかないけど」
「そうなんですか」
僕とローラは老人のほうを見る。彼は何か知っているのだろうか?
「ああ、それならわしも聞いた。まあ、わしも真偽は分からないがな。ただ、マスクをした男が、この盾をおいていったと言う目撃情報ならある」
彼の話だと、本当の可能性もある。カンタダはマスクをしているらしいからだ。ただ、可能性があるだけでそうと決まったわけではない。
真相は今でも分かっていない。
まあ、なんにせよ竜王を倒してしまった僕にとってはあまり関係のないことなのだが。
僕はロトの鎧をはずす。いつもの鎧、いつもの兜の姿に戻る。
「あの、お願いできますか」
「なんじゃ」
「その盾、これからもしばらくそこで預かってもらえますか」
「持っていかないのか」
「今は水鏡の盾で十分ですので」
横でローラがうなずく。水鏡の盾も十分強いのですよ、と。
「確かに、人を襲う魔物は居れど、鉄の盾でどうにかな
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