第八十六話
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「長門ッ！！ ありがとうッ！！」
「え？ 何が？」
その後、俺が仕事中に翠が部屋に駆け込んでくるといきなり頭を下げてきた。
「だからありがとうッ！！」
「いやいや待たんかい。何のありがとうやねん、主語と術語を使って言えや」
思わず関西弁でツッコミを入れる。
「あ、いけね。実は母上から病の事やそれを治したのも全て聞いたんだ」
あぁ成る程な。
「始めからそれを言えよな」
「そう言うなよ、あたしも驚きの連続だったんだよ」
翠が不満を漏らす。
「悪い悪い。けど俺に御礼を言うより病を治した華陀達に言うべきだろ」
「そ、それもそうだな。なら先に華陀のところに行ってくるよッ！！」
翠はそう言って部屋を出た。
「……もう華陀はいないのにどう御礼を言うんやろな……」
俺はそう呟いた。
――陳留――
「フフ……漸く戦力は整ってきたようね」
「は、既に常備部隊として約三十万は動かせます」
私の呟きに秋蘭はそう報告してきた。公孫賛が治めていた幽州は比較的に治安は安定していたから問題は無い。
問題は馬鹿（麗羽）が治めていた冀州は最悪と言っていいほどね。
治安や経済支援のためにどれほどの資金が飛んだ事やら……。
まぁそれでも兵力は多かったから良しとするわ。我が軍の兵力は鍛えに鍛えあげた精鋭部隊よ。
「……秋蘭」
「は」
「そろそろ頃合いね」
「……では」
「えぇ」
私はそう言って玉座の椅子から立ち上がる。
「袁術の仲と決戦をするッ！！」
私の覇気ある怒号が玉座に響き渡る。そこへ猫耳の頭巾を被る桂花が一歩出る。
「お待ち下さい華琳様」
「何か具申する事があるのかしら桂花？」
「蜀の劉備です。もし、我が軍が仲と決戦をしている中、蜀が漢中から長安へ進撃したら押さえる部隊がいません」
「それは分かるわ桂花。でもそれについては心配ないわ」
「と言いますと？」
「羌人に出兵してもらい共同して蜀を討つ予定よ。そのための貢ぎ物を羌人に送っているのよ」
「そのための貢ぎ物でしたか」
私の言葉に秋蘭が納得するように頷いた。ちなみに姉である春蘭はよく分かってなかった。
「そうよ、それに羌人は妙な武器を使うと聞いているし諸葛達も苦しむでしょうね」
後にそれは戦車（エジプトが使う馬車）と判明するのであった。
「他に何か質問はあるかしら？」
『………』
反応は無かった。ならば……。
「なら仲と決戦に入るわッ！！ 各自、戦の準備をしなさいッ！！ それと仲に宣戦布告の使者を送りなさいッ！！」
『
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