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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第十二話「パートナー」
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秒ほどで快癒し、いつもの綺麗な肌へと戻った。


「スカーレット……」


 クレアは傷が癒えた途端に立ち上がり、よろけながらもスカーレットの元に歩み寄る。


 子猫のように小さくなってしまったが、普段の愛しい姿に戻った火猫は身体を丸めて地面に倒れていた。


 火猫を愛おしそうにソッと抱き上げる。


「ごめん、ごめんね……スカーレット……」


 涙を溢しながらひたすら謝罪を口にするクレアに、スカーレットは小さく「ミ〜」と鳴いた。


 後ろで一人見守っていた俺は漸く一息を吐くことができた。


 なにはともあれ、一段落ついたか……なんだか疲れたな。


 一人黄昏ているとエストが一瞬だけ輝く。なんだか俺を元気つけるかのように思えて、少しだけ嬉しかった。





   †                    †                    †





「その……ごめんなさい」


「ん?」


 無事にスカーレットを取り戻したクレアは唐突に謝罪を口にした。〈次元跳躍〉で現実世界へ帰還した俺たちは現在、寮へと向かっているところだ。


 丁度、俺を挟む形で両隣にクレアとエストが位置している。ちなみに本人の催促によりエストとは手をつないだ状態だ。


「リシャルトにも迷惑かけたわね、ごめん……背中の傷は?」


「まあ、誰しも道を踏み外すことはある。気にするな。傷はもう塞いである、さすがに後までは消せなかったが……」


 恐らく一生消えないだろう。まあ傷があるからって俺は別に気にしないんだが、クレアは気にしそうだな。今の俺の魔術では完全再生は望めない。


「その、本当にごめん……」


「もう気にするな。俺は気にしない」


「うん……。でも、どうしてそこまでしてくれたの?」


 クレアが真っ直ぐ俺の目を見て訊いてきた。


「……俺も昔、強さを求めていた頃があった。今も求めてはいるが、当時の俺は強さというのは単純な力だと思い込んでいた」


 あの頃はただ、がむしゃらに己を鍛えていた。高みを追求することだけに一心していた。当時、それがどれだけ危ういことなのかを理解していなかった俺は一時期、心が折れそうになった事があったんだ。


「その時に俺の心を救ってくれた人が言ったんだ。『人の強さは心の強さ。力なき信念は戯言として終わり、信念無き力は暴力として終わる』と」


「人の強さは心の強さ……」


「それからだな。ただ高みを追求するだけでなく、なぜ追求するのか。追究して何を成そうとしたいのかを真剣に考え始めたのは」


「それで、答えは出たの?」


「半分
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