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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第十二話「パートナー」
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られないものを見るような顔で俺を凝視していた。


「クレア――」


「……でよ」


 クレアのもとに近づくと関をきったように言葉を続けた。


「なんでよ! なんで負けるの!? あた、あたしは力を手に入れたはずなのに、もう誰にも負けないくらい強くなったのにっ!」


 その場に座り込みイヤイヤと頭を振る彼女の前に立った俺は静かに口を開いた。


「なあ、クレア。君はなぜ力を求める?」


「強くなるためよ! 強くなってあたしを馬鹿にしてきた奴らを見返すんだから!」


「本当にそうか?」


 膝をつきその顔を覗き込む。深紅の瞳は涙で濡れ、場違いながらも綺麗だなと思った。


「姉に会うために力をつけるんじゃなかったのか? 会って真実を知るために強くなるんじゃなかったのか?」


 ハッと何かに気がついた反応を見せる彼女に、確かな手応えを感じた。


 まだ間に合う、まだ堕ちきっていない。


「俺は君の炎を知っている。眩しく気高い炎の色を知っている。あの禍々しい炎が君の本来の炎なのか?」


「アタシは……」


「それに、君が手にする力というのはスカーレット(大切な家族)を苦しめるものなのか?」


「え……?」


 呆然と俺を見上げるクレア。今もなお身を捩り、鎖の戒めから逃れようともがく魔獣を指差した。


「あれはスカーレットだ」


「……スカーレット?」


「ああ、お前の家族は消滅したわけではない。一時的に力を失い顕現できなかっただけだ。今は狂精霊に憑かれてあのような姿になっているが……」


 それを聞いたクレアの目に、たちまち光が戻った。


「スカーレットが、生きてる!?」


「今は、な。このままでは力を消耗し消滅する」


「そんな……!」


 ガクッと項垂れ、うちひしがれるクレア。だが、手がない訳ではない。


「救う手立てはある」


「――本当!?」


「だが、救うのは他でもない君自身だ」


「……どうすればいいの?」


 クレアの左手に刻まれた黒い精霊刻印に目を向ける。


 精霊刻印は精霊と契約者を繋ぐ糸だ。刻印を物理的に破壊すれば、精霊との契約は強制的に破棄される。だが、そのためには契約者本人の神威を使って破壊しなければならない。


 そのことをクレアに伝えると、彼女は覚悟を秘めた目で頷いた。


「……いいわ。スカーレットがあんな風になったのはあたしの責任だもの」


 その眼差しは俺のよく知る光――強い意志を宿した目だった。


 ――炎よ、我が手に舞い、踊れ!


クレアは右手に小さな火
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