第七章 銀の降臨祭
第三話 銀の降臨祭
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を占めるのはこれからのこと。迫るアルビオン軍と反乱軍を合わせ七万の敵から、どう逃げるのかということだ。
撤退には、ロサイスの軍港から船に乗り込まなければならない。だが、軍港は桟橋がすくない。離反者が出たとは言え、連合軍は三〜四万はいる。その全てが搭乗するには、それなりの時間が掛かるだろう。それまで、アルビオン軍がロサイスにたどり着くか……。
もし、それが無理なのだとしたら、誰かが時間稼ぎをしなければならない。
しかし、時間稼ぎをするにしても、連合軍の兵士は、逃げ足を早くするため、重装備の尽くを捨ててしまっており、戦力にならない。空からの砲撃も、散開しながら迫るアルビオン軍を止めるには役不足だろう。
……なら、方法は一つしかない。
士郎は自分の隣りを歩く、飴の甘みで幸せそうに顔を綻ばせるルイズを見ていた顔を、横にずらす士郎。視線の先は、自身の左手の甲。そこに刻まれる契約の印。
「……やるか」
「……見え見えなのよ」
士郎が視線を外し、決意を込めた顔で頷くのを見て、ルイズは誰に言うでもなく小さく呟くと、服の上から自分の薄い胸を叩く、そこには、硬く丸い容器がある。それは、最初の降臨祭と共に、シエスタから渡された魔法の薬が入った瓶。
「……やっぱり……使うしかないかな……」
服の上からギュッとそれを握り締めると、ルイズは士郎と同じく決意を秘めた目で小さく頷いたのだった。
シティオブサウスゴーダから誰よりも早く逃げ出した連合軍の首脳陣は、やはり誰よりも早く港であるロサイスに到着した。ウィンプフェンを始めとする連合軍首脳陣は、ロサイス到着するやいなや、本国に退却の打診を行ったが。王政府からの返答は『否』であった。
それも仕方がないことであろう。つい先日まで、連戦連勝、完全勝利まであと少し。それが連合軍の半数が裏切った? 最高指揮官であるド・ポワチエが戦死した? そんな報告がそう簡単に信じられる理由がない。偽報と疑われるの仕方ないだろう。だがしかし、敗軍である連合軍は続々とロサイスに集結し、アルビオン軍は迫ってきている。ウィンプヘンには、悠長に本国政府を説得している暇などなかった。
『今すぐ退却しなければ全滅する』、『我が軍には、敵に対抗する術がない』等、ウィンプヘンは半ば本国を脅迫でもするかのように退却要請を繰り返す。ウィンプヘンのその奮闘が実ったのは、退却要請を始めてから半日後だった。しかし、それは成功とは言えない。その半日の時間が、連合軍の命運を決定したからだ。
……時間切れという結果に。
退却の許可を得た後、連合軍は早速退却のための乗船を開始した。しかし、ウィンプヘ
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