第七章 銀の降臨祭
第三話 銀の降臨祭
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たが、綺麗に掃除されている。
黄昏から夜となる最後の一時。か細い夕日の光が、ステンドグラスを透り抜け、寺院に設置された祭壇を荘厳に照らし出す。
祭壇に二つの影が落ちる。
小さな影と大きな影。
ルイズと士郎の姿が、そこにはあった。
士郎とルイズは向かい合っている。
ルイズは後ろに手を組み、顔を俯かせ。
士郎はぽりぽりと頬を掻きながら、落ち着かないようにキョロキョロと寺院の中を見渡している。
暫らく続いていた沈黙を最初に破ったのは、顔を俯かせていたルイズだった。
「……シロウはこの世界の結婚式の仕方は知らないよね」
「あ、ああ」
ぎこちなく頷く士郎の様子に、ふっと、ルイズの頬が綻ばせると、祭壇の上に置いていたグラスにワインを注ぎはじめる。その際、ルイズは士郎に背を向け、ワイングラスを士郎から見えないようにしていた。
「まずはね……はい」
「これは?」
ワインを注ぎ終えたルイズは、シエスタから渡された魔法の『眠り薬』入りのワインを士郎に手渡す。
士郎はワインを受け取ると、不思議そうな顔でルイズとワイングラスを交互に見比べる。
「まずはこれを飲むの」
「ワインをか?」
「そうよ」
首を傾げる士郎に、ルイズはコクンと頷いてみせる。
頷くルイズに、士郎は首を傾げながら、ワインに顔を近づけ。
「……ん? ぁぁ………そう……か……」
ピタリと身体を止めた。
ルイズは士郎の様子に気付かず、ワイングラスを向けてくる。
「それじゃあ……乾杯」
「……乾杯」
ルイズは士郎が持つワイングラスに自分のワイングラスをカツンとぶつけると、グイっと一気にそれを飲み干した。
頬を淡く桃色に染めたルイズは、空になったワイングラスを両手でギュッと握ると、顔を上げ、士郎を見つめながら誓いを告げる。
「……新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女。ルイズ・フランソワーズ・ル・ド・ラ・ヴァリエールは、始祖ブリミルの名において、エミヤシロウを敬い、愛し、そして夫とすることを誓います」
真剣な、直向きな視線を向けていたルイズだったが、士郎が未だに手に持ったワインを飲むことなくじっと見つめてくることに、戸惑い始めた。
「? ……シロウ?」
士郎の言葉を待っていたルイズだが、ついに痺れを切らし口を開いてしまう。
少しも逸らさずじっと見つめてくるルイズに、士郎は優しく笑いかけると、手に持ったワインを口にし、
「え? あ……んぅ……んぐ……ん、んむ」
ルイズに口付けた。
突然のキスに驚いたルイズだったが、抵抗することなくそれを受け止める。
士郎とルイズの口が合わさり。士郎の口からルイズの口へ何かが送られる。ルイズは反射的に送られるものを何時も通り
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