第七章 銀の降臨祭
第三話 銀の降臨祭
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と違い、一気に水を飲み込むと、再度空になったコップに水を入れる。
「ミス・ヴァリエールはどうしますか?」
「わたし? そうね……何処かに逃げてった使い魔でも探しに行こうかしら?」
「あら、それはいいわね。捕まえたらこっちに連れてきてくれない? 結構多めに人を連れてきたんだけど、そろそろ人手が足りなくなりそうだし」
「手伝わせるつもり?」
「もちろんよ。これから休憩なんか取ってられる暇もなくなりそうだし……それに、責任も取ってもらわないとね」
呆れたようなルイズの言葉に、さも当然だとばかりにジェシカは頷き、含みを持たせた言葉を呟く。
「責任って……そんな……」
ジェシカの言葉の意味を思い、シエスタが酒ではない理由で頬を赤く染める。
「むぅ……じゃあ、わたしの方はどうなるのよ」
同じ理由でルイズも頬を赤く染めながら、むくれた顔をジェシカに向ける。非難がましい視線を向けられたジェシカは、肩を竦めて見せると、忙しく走り回っている給仕の姿を顔で示す。
「そちらの戦争は十日後だけど、こっちの戦争は後十分後なの。ルイズが戦争に行く頃には、流石に身体の調子は戻ってるでしょうけど、こっちはまだまだ本調子じゃないのよ。ねぇシエスタ」
「え? あ、う、うん。確かに……まだちょっとだるいけど……でも、その分色々スッキリして……」
「シ〜エ〜ス〜タ〜」
「ッ!? うんうん確かに本調子じゃないですね! ええ! 本当ですとも!」
赤くなった頬を両手で挟み、いやんいやんと身体を振るうシエスタに、ジェシカがジト目で睨み付ける。すると、シエスタは慌ててジェシカたちから顔を背けると、うんうんと力強く頷いてみせた。そんな様子をルイズは、苦笑いしながら見ていたが、天幕に何かが当たる音に気付くと、天幕の隙間から外を覗き込んだ。
「あ……雪だ」
「へえ、どれどれ……あ、ほんとに雪ね……」
「え、本当ですか? あ……凄い……綺麗……」
ルイズがポツリと呟いた言葉に、シエスタとジェシカが同じように天幕の隙間から外を見る。雪が降っていることに気付きだした周りが、雪だ雪だと騒ぎ始めだす。暫らく黙ったまま雪が降っているのを眺めていたシエスタが、誰に言うでもなく口を開く。
「こんなに綺麗なところで、どうして戦争をするんでしょうか」
口にした言葉は小さかったが、未だ騒がしい天幕の下、それは奇妙なほど綺麗にルイズの耳に入り込んだ。ルイズは、コップの中に残っているワインを眺めながら、シエスタの言葉について考え込む。
戦争をする理由……か……。
起きた理由。
起こした理由。
起きてしまった理由……。
理由は色々あるけど……きっとその最大の理由は、姫さまの復讐が理由じゃないかしら……。
もちろん、
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