投刃と少女
とあるβテスター、密会する
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テ」
「……、ちょっと、気になることがあってね」
「フーン?ま、ただ聞いてみただけなんだけどナ」
アルゴの言葉に曖昧な答えを返すと、本当にただ聞いてみただけなのだろう、それ以上追求してくることなく話題を終える。
僕はというと、頭の中が絶賛混乱中だったため、彼女が必要以上に踏み込むことをしてこなかったのは正直ありがたかった。
────────────
「そんじゃ、オレっちはちょっと着替えてくるカラ。ユー助、覗くなヨ?」
「覗くか!」
「にゃハハ、冗談冗談」
さっきの失言を謝罪し、報酬として幾許かのお金を渡すと、アルゴは上機嫌でドアの向こうへと消えていった。
この後も何件か仕事で人に会う予定があるらしく、その前に夜装備に着替えておきたかったのだそうだ。
内心よくやるなあと思いながら、『鼠』が向かった先───バスルームの扉を眺めつつ、溜息一つ。
僕の気分が落ち込んでいる理由は、わざわざ言うまでもないだろう。
───何なんだ、本当に……。
キバオウが大暴れしたあの時から、僕は会議中の彼の様子を逐一チェックしていた。
そうして見ているうちに、気が付いた点が一つ。どうも彼は、ディアベルに心酔している節があるということ。
あの様子からして、彼らは会議の時が初対面……というわけではなさそうだ。
そもそも、アルゴが『ディアベルにそこそこ近い人物』としてキバオウの名前を挙げた時点で、二人の間には最初の攻略会議よりも前から、少なからず接点があったということになる。
反βテスターを掲げるキバオウ。恐らく元βテスターであろう、『アニールブレード+6』の持ち主であるプレイヤー。そして、騎士ディアベル。
この三人を結び付けているものが何かまではわからないけれど……キバオウとディアベル、二人が何かを隠し、それを密かに実行しようとしていることだけはわかる。
───二人は、一体何を企んでる……?
あの時。僕の名前とキリトの顔を見て、一瞬とはいえ眉を顰めた騎士ディアベル。
彼の不審な態度を思い出しながら、僕は明日のボス攻略戦を思い浮かべ、随分久しぶりとなる“嫌な予感”を感じていた……。
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