暁 〜小説投稿サイト〜
とあるβテスター、奮闘する
投刃と少女
とあるβテスター、密会する
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けているということだ。
キバオウのようなガチガチの反βテスター派が、果たして彼女を頼るような真似をするのだろうか。
プライドの高そうなあの男のことだから、『βテスターに借りは作らん』とか言い出しそうな気がするんだけど……。

「それで、キバオウは何の情報を買ったの?」
「………」
「……、1000コルでいい?」
「もう一声だナ」
またしてもトレードウィンドウを開き、1500コルを乗せてやると、アルゴはそれでいいとばかりにニヤリと笑った。
相手が興味を示しそうな単語をちらつかせ、それに食いつけばここぞとばかりに報酬を要求する。流石は『鼠』、自分の商売に関しては抜け目がない。
上手いやり方だと感心しつつ、今後の出費のことを考えると思わず溜息が出てしまう。

───こいつ、いつか絶対泣かせてやる……!

ナイフが買えなくなって死んだら化けて出てやる、と決意を固め、報酬に見合った情報提供を要求する。
特に口止めされていたわけではないらしく、アルゴはキバオウに関する情報をすんなりと教えてくれた。
……とはいえ、当然のことながら。話がいいところまで進む度、追加料金として金銭を要求されたのは言うまでもない。
『おまえは旅館のテレビの有料チャンネルか!』と突っ込みたくなる衝動を押さえるのは大変だった……。

閑話休題。


「……それ、本当?」
「嘘はつかないヨ」
どんどん寒くなっていく懐に反比例してアルゴへの恨みを募らせていく僕だったけど、話を聞いていくうちに衝撃で恨みを忘れてしまった。
彼女からもたらされた情報には、それほど不可解な点がいくつもあった。

アルゴの話によると、キバオウはここ一週間、彼女を通してとあるプレイヤーの持つ武器を買い取ろうと交渉しているらしい。
買い取ろうとしているのは『アニールブレード+6』。買取希望価格はなんと驚きの39800コル。
それは約40000コルも出すほどのレアアイテムなのかと聞かれれば、答えは否。
『アニールブレード』は第1層で受けられるクエストの報酬として貰える片手剣で、強化を重ねれば第2層までは十分に使っていけるという、片手剣使いには必須といっていいほどポピュラーな武器だ。
だけど、クエスト報酬で必ず貰えるということは、逆に言えばそれなりの数が市場に出回っているということでもある。
未強化の『アニールブレード』の相場価格が15000コルで、そこに20000コルも上乗せすればほぼ安全に+6まで強化できるため、実質35000コルで同じ物を作ることができる……んだけど、キバオウは何度も断られているにも関わらず、その都度価格を上乗せし、執拗に交渉を迫っているのだそうだ。

「それってそこまでする価値ないよね?どういうこと?」
「さァ?オイラも何度もそう言ったんだガ、
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