投刃と少女
とあるβテスター、密会する
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いだろう。
そんなことを思いながら、ソファーに我が物顔で座る情報屋の姿を見やった。
小柄な矮躯。語尾が特徴的な喋り方。金褐色の巻き毛に、顔には左右三本ずつのフェイスペイント。
顔の作りこそ当時とは違っているものの、この人物は間違いなく情報屋『鼠のアルゴ』その人だ。偽者の心配はないだろう。
もっとも、いい意味でも悪い意味でも有名な『鼠』を騙る物好きなんて、いるのかどうかも疑わしいけれど。
「まあ、改めて……久しぶりだね、アルゴ」
「そうだナ。ところで呼び方は変えるべきなのカ?」
───この野郎っ!いや女の子だけど!
これ見よがしに足元を見てくるアルゴに、思わず叫ぶところだったのを必死に押さえ込む。
「……、いくら?」
「500コル」
「………」
「にゃハハ、まいどアリ」
楽しそうに笑うアルゴをジト目で睨みながら、再びトレードウィンドウを開いて500コルを渡してやる。
相変わらず人の弱みを握るのが上手い。そして、それは顔見知りが相手だと容赦がなくなるからタチが悪い。
「ユー助は相変わらずいいお客さんだナ。オイラが見込んだだけのことはあるヨ」
「そう思うなら少しはサービスしてよね」
「それとこれとは話が別だナー」
「ちっ」
ジト目を継続させながら値切ってみたけど、やっぱりだめだった。
このデスゲームで以前と変わらず情報屋を営むだけあって、肝が据わってるというか何というか。
情報が不足している現状では頼りになる反面、誰にも知られたくない情報がある場合、口止め料を支払う羽目になるのが玉に瑕だ。
彼女のお陰でボス攻略の目処が立ったのもまた事実。その件に関しては、彼女に感謝するべきなんだろうけど、それとこれとは話が別。
こっちもナイフ代が馬鹿にならないっていうのに、ケタケタ笑いやがってこの女───ああっ、どんどん口が悪くなってる!だから嫌だったのに!
「……まあいいけど。そんなことより、君に聞きたいことがあるんだ」
「わかっタ。ユー助は何を知りたいんダ?」
せめてもの仕返しとして脳内でアルゴが一文無しになった姿をイメージしつつ、本題を切り出す。
僕がわざわざ彼女を呼んだのは、何も旧知の仲だからという理由でも、ましてや余計な出費を増やすためでもない。
「単刀直入に聞くよ。ディアベルって名前に心当たりは?」
「ディアベル?あの青髪のニーチャンのことカ?」
「うん。あの自称騎士さんだよ」
さらりとディアベルのことを知ってるような言い方をするアルゴだけど、今更驚くようなことでもないため、あえて突っ込むような真似はしない。
あのイケメン具合といい髪色といい、あれほど目立つプレイヤーはそうそういない。
僕とシェイリのように常に顔を隠しているわけでもないし、アルゴの情報網にかかっていてもおかし
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