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清教徒
第二幕その一
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その返事の手紙を書かねばな。では暫く席を外すぞ」
「わかりました。それでは」
「うむ。その間ここを頼む」
 ヴァルトンはその場を後にした。そこにはジョルジョとリッカルド、そして従者達が残された。
「ヴァルトン様のことですが」
 リッカルドはヴァルトンが去ったのを見届けてからジョルジョに声をかけてきた。
「兄上がどうかされたのか」
「クロムウェル閣下はヴァルトン様の名誉については何も仰いませんでした。むしろ褒めておられました」
「そうか」
 だがそれを聞いてもジョルジョの顔は晴れなかった。
「それ程までにか」
「はい」
 だがリッカルドはジョルジョの顔には気付かなかった。言葉を続ける。
「これはクロムウェル閣下直々の御言葉なのです」
「それはわかっている」
 そしてジョルジョは言った。
「そのうえでアルトゥーロを捕らえるか討てというのだな」
「はい」
 答えた。
「そうか。仕方があるまい」
 それを確かめてから溜息をついた。
「決まったことならばな。従う他にはない」
「迷っておられるのですか」
「まさか」
 ジョルジョはそれを否定した。
「今の卿にそれを言ってもわかりはしないだろうが」
「何がでしょうか」
「そのうちわかる。いや、もうすぐかもな」
「はて」
 リッカルドはわからなかった。首を傾げた。その首を傾げたその時であった。エルヴィーラの部屋から声が聞こえてきた。
「アルトゥーロ様」
「まさか」
 ジョルジョはそれを聞いて青い顔で部屋の方を見た。
 扉が開く音がする。そして歩く音が聞こえてきた。
「まずい」
 その音を聞きながら呟く。顔は青いままであった。
「まさかまた」
「どうかされたのですか」
「見ても驚かないか」
 リッカルドと従者達に対して言った。
「?はい」
 リッカルドは訳のわからない顔ながらもそれに頷いた。

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