序曲その一
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ン=ブーリン、エリザベスの母親その人である。彼女は断頭台において首切り役人に対してこう言ったと言われている。
「一太刀で頼むわね。けれどこんな細い首じゃそれもないでしょうけれど」
そして彼女の首は落ちた。これによりヘンリーは後々まで批判されることとなった。彼の不人気は凄まじいものであり彼の後ヘンリーと名のつく王は出ていないのである。これはジョンに匹敵するものである。それまでは七人も出ていたというのに彼の代でヘンリーは終わったのである。何とも人気のない国王ではあった。
彼はそれからも離婚を繰り返しその中にはまた断頭台に送られた元王妃もいた。王妃だけでなく家臣もよく断頭台に送った。結局それが彼の不人気を確固たるものにしているのである。彼の死によって断頭台は静かになった。しかし今度は火刑台が騒がしくなったのである。
エドワード六世の次に即位したのは女王であった。メアリ一世という。彼女は過激なまでのカトリック信者であり彼女によりイングランドはカトリックに回帰した。そしてプロテスタントへの弾圧を開始したのである。これにより次々と新教徒達が火刑台に送られた。これには彼女の夫であるスペイン王太子フェリペ二世も苦言を呈した。彼はハプスブルグ家、すなわちカトリックの保護者である。その彼が言ったのだ。
まず彼はこう前置きした。
「プロテスタント達への処罰は当然である」
しかしこう付け加えたのだ。
「だがやり過ぎてはいけない。適度なところで止めるべきである」
彼は本質的に政治家であった。信仰心は篤かったがそれは彼がハプスブルグ家であるからでもあった。カトリック、そしてハプスブルグ家の者としての義務を果たすだけであったのである。
しかしメアリーはそれを聞き入れなかった。プロテスタントへの弾圧をさらに激しくさせた。遂には腹違いの妹であるエリザベスすらもロンドン塔に送ったのである。この時彼女は一歩間違えていれば処刑されていた。しかしかろうじてそれから逃れたのである。姉が死ぬと彼女が王となった。この時彼女はこう言ったと言われている。
「神の大いなる御業です」
と。こうして彼女はイングランドの女王となった。宗教においてはプロテスタントながらカトリックにも配慮した非常にバランスのいい政策を敷いた。だがそれでも外敵はいた。まずスコットランドであった。
メアリーとエリザベスは従姉妹同士であった。しかしだからといって仲がよいというわけではなかった。彼女達は互いに女王であった。そしてエリザベスは慎重であるのに対してメアリーはあまりにも軽率であった。彼女はその軽率さによってその身を滅ぼす。何と愛人と計って夫を暗殺し愛人と再婚してしまったのだ。これにスコットランドの貴族達が怒った。彼等はその夫ダーンリーとメアリーの子ジェームスを立てメアリーを追い出しにかかった
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