第十話
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第十話 牛乳は
ライゾウとタロは共に牛乳を飲んでいた、その中でだ。
ライゾウは皿の中の牛乳をぴちゃぴちゃと舌で飲みつつ同じ飲み方のタロに対してこんなことを言ったのである。
「おいら達ずっと普通に牛乳飲んでるよな」
「それがどうかしたの?」
「いや、何か違うらしいんだよ」
「違うって何が」
「猫用のミルクがあるらしいんだよ」
タロにこのことを言ったのである。
「それに犬用のもな」
「そうだったんだ」
「ああ、旦那も知らなかったんだな」
「初耳だよ」
そうだったと言うタロだった。
「そんなのあったんだね」
「うちじゃご主人達普通に牛乳出すからな」
「それが普通だと思ってたよ」
「違うっていうからな」
また言うライゾウだった。
「いや、びっくりしたよおいらも」
「そのお話誰から聞いたの?」
「旦那さんからだよ」
姉妹の父親である。尚母親も健在である。
「そう聞いたんだよ」
「旦那様からのお言葉だったんだ」
「ご主人達よりも偉くてな」
親だからである、親というだけで偉いかというとはっきりとそうだとは言えないものがあるかも知れないが。
「色々知ってる人だからな」
「そのお言葉にも説得力があるね」
「そうだろ。じゃあな」
「これからはミルクを飲むの?僕達用の」
「今のままでいいんじゃないか?」
だが、だった。ライゾウは話はしたがこう言ったのである。
「別に身体も壊してないしさ」
「というか健康だよね」
「おまけに美味いしさ」
味のことも話す。
「だったらいいだろ」
「そうなるんだね」
「どんな味か気になるけれどな」
「味ね。一介試しに飲んでみる?」
タロが提案する。
「そうする?」
「そうするか、ご主人に言ってみるか」
「うん、ちょっと考えてみよう」
「そうだよな」
こうした話をしてだった。
ライゾウとタロは華奈子に対してそれぞれのミルクをおねだりすることにした。彼等にとってはこれは小さな冒険だった。味覚への。
第十話 完
2013・2・13
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