12*触れて欲しくないものがある
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
彼に、ナルミが後ろから聞いてきた。
いつもより不機嫌そうに、しかし、言葉の調子は先程よりも戻っている。
「…バリス、あれはなんだ?」
「あれは、魔獣だ。並外れた魔力と力を持った化け物だ。って!まだ召喚するのか!?」
最初に出た魔獣の後ろに、不思議な光を放つ巨大な魔法陣が二つ浮き上がってきた。
そこから、また新たな魔獣が半分でてきている。
「…ギャァァァァ!」
そのうち一体、鳥のような頭をもった魔獣が叫び、砦を恐怖が飲み込んだ。
『これは…負けるのか?』
瞬間、バリスはそう思った。
今回の作戦は、無理矢理魔獣の魔力を放出させ、無力になったとこを飛竜が突くと言う作戦だ。
強引でシンプルだが、それを出来る下準備さえあれば有効な手段だ。
むしろ魔獣と言うイレギュラーに対して短期間で簡単に出来る作戦ではない。
だが昨日のうちに、準備も完成させた。
しかし、それには莫大な魔力がいる。
エリザにバリス、ゼノアや少しでも魔力のある兵士達全員で掛からないと完成しない。
そのうち大事な一角のエリザが使い物にならないともなれば致命的である。
彼女の持つ魔力は一般兵士とは比べものにならない程大きく、彼女が欠けると魔力が足りないのだ。
この状況で魔獣を倒す術も作戦も今は無い。
バリスも近衛隊も、絶望していた。
しかし、この作戦には大きな間違いが一つあった。
この作戦では、いくらナルミでも魔獣相手に勝てる訳が無いという事で、ナルミには魔獣の足止めと、できれば後ろの敵兵を盗賊の時と同じように倒して貰う手筈だったのだ。
だが、それが間違いだったのだ。
「うるせぇ鳥頭!リバーストラップオープン!『奈落の落とし穴』!」
いきなりナルミが叫び出した、手には赤い札を持っている。
「ギャァァァァ!」
「グゴォォォォ!」
ナルミが叫んだ瞬間、出て来る途中だった二体が消えた。
いや、正確には出てきた瞬間何かに落ちたように地面に消えた。
「もう一体も邪魔!マジックカード!『ハンマーシュート』!」
ゴッ!
今度は緑の札を持って、ナルミが叫んだ途端に最初に出た魔獣が何かに押し潰されたかの様に潰れ、消えた。
その様子を見て、唖然とするバリスと近衛隊。
それどころか、ナルミ以外の全員が、それこそ敵も味方も関係無しに皆驚き、動揺している。
「魔獣を召喚ねぇ…その決闘《デュエル》、受けて立つ!!我が『次元帝デッキ』に敵う者などいない!!」
そんな中、壁に開いた穴の端に立ち、高らかにナルミが宣言した。
砦で、朝日に照らされるその姿を見た者は皆こう思った
『この方こそ、自分達を救ってくれる勇者様なのだ。』
と。
これが
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ