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なりたくないけどチートな勇者
12*触れて欲しくないものがある
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非常識なことをしたのだ。
すぐに何か、それこそまた魔獣を召喚するとかやって来ないとも言い切れん。
なるべく早くたのむ。」

「わかりました。」

「兄様も来たからには働いて貰いますよ。
私にちゃんと従って下さいね。」

「げ、お前兄貴に働かせんのかよ。」

「当然です。」

そして、話し合いの後に作戦の準備を進め、その日一日は過ぎていった。



********》☆


翌日の早朝、まだ日が昇り始めたばかりのころに事件は起きた。

「ナルミ!起きろ!」

ガスッ!

「グボッ!?」

エリザは昨日、飛竜に乗った際に酔い、着いた途端に倒れて今まで寝ていたのだ。
初めて飛竜に乗ったらしいのでしかたないと思い、彼女はナルミを一日休ませた。

そして今日、これからの作戦等についてをナルミに話すべく、近衛隊を引き連れ、朝から直々に彼を起こしたのだ。
腹への肘打ちで。

「いってて」

当然ナルミは痛がり、のたうちまわる。

「なんだ、そのくらいで痛がって。
軟弱だぞ、もっと筋肉をつけい。
ヒョロ長いだけではダメだぞ。」

笑いながら言う姫に、苦笑する近衛隊。
実に平和な朝だった、……この時までは。

のたうちまわってたナルミが、姫の発言に反応してピタリととまったのだ。

「……今、なんつった?」

いつもと調子のちがう、ドスのきいた低い声。
穏やかだった空気が、一気に変わった。

そして、ゆっくりと起き上がりながらナルミは続けた。

「おい、小娘、貴様なんつった?」

いつもと違う雰囲気に気圧されるエリザ。

「え……、あ、あーそのー」

「なんつったて聞いてんだよ!誰が感嘆詞言えっつったぁ!?質問に答えろやクソガキが!」

ドゴオッ!

怒声と共にナルミが右拳で壁を殴った。
すると、爆音と共に壁に見事な穴があいた。
向こうにある、敵の魔獣がつくった荒れ地がみえる程に綺麗な穴が。

そんな事はお構いなしに、ナルミはエリザに近付きながら言った。
それに伴い、エリザも後ずさる。

「誰が軟弱だって?誰がヒョロいって?誰がモヤシっ子だって?誰がデクノボーだって!?えぇ!?」

彼は小学生の頃に“ヒョロい”だの“モヤシ”だの言われて虐められてた時期があったのだ。
そして、小学生の時のいじめっ子たちは、それらを言いまくってとうとうキレたナルミに全員泣かされてからというもの彼の回りではそれらが禁句となったのだ。

今でもナルミはそれらのワードを聞くと、言った相手が死にたくなるまで言葉責めにして追い詰めるのだ。
ちなみに、彼の高校にはすでに被害者が五人いる。

そんな事を知るはずもないエリザだが、恐怖により正常な判断を無くし
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