投刃と少女
とあるβテスター、睨まれる
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の流れを汲み、より完璧なゲームとして完成させていくのがβテストの役目だ。
もちろん、それは敵の強さに関しても例外ではなく。
敵の見た目がβテストの時と同じでも、使ってくる技が変わっていたり、ステータスそのものが大幅強化されている……なんてことも、大して珍しいことではない。
実際に僕がSAOの前にやっていたMMOでは、β当時は最弱と呼ばれていたボスが、正式サービスでは最強モンスターへと早変わりしていたことだってある。
SAOもMMORPGというジャンルのゲームである以上、ゲームバランスの修正がきている可能性がある。
ボスの攻撃パターンや使用するスキルも、そこまで極端な変化はないにしろ、何らかの変化があってもおかしくないんだ……!
「あー……えー……その、だな……」
さすがの騎士様もその可能性は考慮していなかったらしく、視線を宙に泳がせながら言葉を探している。
僕もシェイリに言われるまでは忘れていたくらいだし、まさかこんな質問がくるとは思っていなかったのだろう。
周りのプレイヤー達からも、『修正?』『マジかよ……』『そういや前のMMOでは……』などといった声がちらほら聞こえてくる。
───まずい。昨日とは違う意味でまずい。
空気をぶち壊しにしたという意味では同じでも、利己的だったキバオウの言い分とは違い、シェイリの意見は直接の生死に関わることだ。
ここでこの意見を却下すれば、それが部隊の命運を分かつこととなってしまう場合もある。
かといって、そればっかりは実際に戦ってみるまでわからないため、ディアベルも迂闊な答えを返せない。
『アルゴの攻略本・第1層ボス編』によれば、『イルファング・ザ・コボルドロード』のHPゲージは全部で四本。
手に持った骨斧を用いて斧系スキルを使い、HPゲージが最後の一本を切った時、曲刀カテゴリのタルワールに持ち替える……というのが、βテスト当時のデータらしい。
僕がβテスト期間中にボス戦に参加するようになったのは、テスト開始後何週間か経った後の、第4層攻略戦からだ。
よって、第1層のボスであるコボルド王と実際に戦ったことはない。
4層からのボス戦には全て参加していたけど、第9層……βテスト最後のボス戦で、僕にとっては忘れられない出来事となる事件が───と、それはこの際置いておこう。
今問題となるのは、第1層ボスのデータが本当に当時のままなのか、というところだ。
この情報通りなら、ボスのステータスが大幅強化されていない限りは、斧と曲刀のソードスキルの対処法だけを頭に入れておけばさほど問題はないだろう。
だけど。シェイリの言う通り、使用するスキルが変更されていたら?
ボスの持ち替える武器が曲刀ではなく、両手剣やメイス、もしくはβでは未実装だった“まだ見ぬ武器”だったら─
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