投刃と少女
とあるβテスター、睨まれる
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
人でいるということは、やはり両者ともにソロプレイヤーなんだろうか。
下手をすればペアより危険度が増すかも、なんて考えている僕を余所目に、シェイリはいつもの調子で目当ての人物へと話しかけていた。
「ねぇねぇ、あぶれたの?」
「………」
───ぶっ!?ば、ばかっ!
ズバリ言うわよとばかりに無遠慮な聞き方をするシェイリに、僕は思わず咳き込んでしまった。
質問された相手はというと、フーデッドケープを着込んでいるため表情はわからない。
だけど、そのフードの奥から烈火の如き視線が放たれて───あ、これ完全に怒ってる……。
ハラハラしながら見守る僕の気も知らず、シェイリはいつものふにゃりとした笑顔で、
「あぶれたんだったら一緒にやろうよ。わたしたちもまだ二人なんだ〜」
「……アブレてない。周りがみんなお仲間同士だったみたいだから遠慮しただけ」
「それをあぶれたっていうんだよ?」
「………、アブレてない……わよ」
「あぶれてるよー」
「アブレてないわよっ!」
相手の言い分もお構いなしなシェイリに(実際、僕もアブレてるとは思ってたけど)、とうとう相手は声を荒げ、鋭い視線を向けた。
───あれ、女の子?
もう少しオブラートに包んだ言い方をしてください、とシェイリに対して心の中で突っ込みつつ、相手の口調に違和感を覚える。
フーデッドケープで顔を隠し、押し殺したような声で喋っていたけど……最後の叫び声は、間違いなく女の子のものだった。
ただでさえ女性プレイヤーの数が少ないSAOの世界で、女の子で、しかもソロプレイヤー。
フードで顔を隠していなければ、周りの男性プレイヤー達が放っておかないだろう。
ちなみにシェイリも一応女性プレイヤーなのだけれど、人前を歩く時は僕とお揃いのフードで顔を隠させている。
戦闘中は邪魔になるということで装備していないけど、大抵の相手は戦闘時の彼女の姿を見て、ドン引きしたような顔で横を通り過ぎていくだけだ。
無理もない。誰もが恐怖を抱えながら戦っている中で、見た目中学生くらいの女の子が満面の笑みを浮かべ、無邪気な声を上げながら両手斧で敵を薙ぎ倒していくのだから。
薄暗いダンジョンの中、周囲にモンスターの返り血に見えなくもない赤いエフェクトを散らせながら、『えへ、まだ足りないなぁ……』などと言っている光景は、パートナーである僕ですら時々ゾクリとするほどだ。
まったく知らない人が見れば、新手の人型ネームドモンスターか何かかと思うのではないだろうか……。
そんな顔だけは可愛い残念美少女シェイリさんはさて置き、どうやらアブレ組の一人であるレイピア使いは、周りが仲間内でパーティを組んでいるため置いてけぼりをくらったらしい(本人は否定しているけど)。
ずっとペアでやってきた僕た
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ