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形而下の神々
ナツキ・エンドーと白い女神
ホワイトゴッデス〜白い女神〜
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俺はその言葉にハッと閃きを感じた。

 ホワイトゴッデスは要は実在しない女神を象ったものだ。だからあやふやな石像が出来上がる。しかし今度のは全く違い、かなりの完成度なのだ。
 それはすなわち……。

「この石像にはモデルが居たんだよ!! 今までのモノは全て、実在しない女神を象った、いわば想像上の生物みたいなもんだ!!」

 だが、今回のは違う。確実に見える、感じられるモデルが居たんだ。例えば、白い女神の宗教。彼らの信じた思想の……。

「女性教祖……」

 宗教ならその教えを伝える人間が居る。この小さな白い女神像はその教祖を象ったものなのかもしれない。しかし、その女神像が遠藤菜月、もとい白井菜月に似ているなんて事はなかった。


 似てたら似てたで気色悪い気もするが……。


「なぁタイチ……」
「あぁ?何だよ?」

 と、今度はグランシェがなにやら閃いた様子で話しかけてくる。

「コレって、すげぇ発見なんじゃないの?」
「……まぁ、確かに今までにないタイプだけどな」

 何が言いたいのかよく分からんが、確かに凄いと言えば凄い。
 が、グランシェは何か別の事が言いたかったようで、煩わしそうに再び口を開く。

「いや、そうゆうんじゃなくてさ。
戦争の時だってそうなんだが、手の込んだ武器や仕掛け、有能なアイテムや兵隊は攻めに出すよりも守り、特に主要な場所や物を守る為に使うんだ」
「……何が言いたい?」

「だから、そういう手の込んだ作品って優秀な作品なんだろ?
だったら、その白い女神の宗教とやらの中枢に近い場所に置くんじゃないの?」

 いや、俺は戦闘の専門家であって宗教は考古学はわかんないけどね。
 グランシェはそう付け加えたが、確かに彼の言う通りだった。

 ヤツは正しい。もしかしたらこの小さな白い女神像は今まで発見されていなかった白い女神の宗教の中枢を担う場所に贈られたものかも知れない。
 そうなるとこいつはもの凄い事だ。もしかすると、宗教だけでなくドナウ文明の証拠すら発見できる可能性があるのだからな。
 この石の年代と種類を調べれば作られた場所が分かるだろう。発掘記録からは、もしかしたらこの宗教の中枢であった場所が分かるかも知れない。

 そしてその先には……遠藤菜月が居るのかも知れない……。


 俺の興味は昔っから白い女神の宗教とドナウ川流域の文明にのみ向いていたが今は少し違った。意味のわからないモノには昔から興味をそそられるのだ。

 遠藤菜月の正体を暴いてみたい。

 俺の中で緩やかに、しかし確実に硬くその思いは募り、固まっていった。
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