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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
ムッツリさんの最後の戦い 旅立ち編
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帰るからね」
私たちは、笑って答えます。
妹たちを、そして自分達を安心させるためです。
少し離れて、綾池さんが熊のぬいぐるみを抱えながら笑っています。
私たちは綾池さんと一緒に、研究所の近くにあるマンションで共同生活しています。
先日綾池さんが作ってくれた、餃子のようなウクライナ料理はとても美味しかったです。
ちなみに、斑鳩さんは、執筆作業のため別のホテルで、缶詰状態のようです。


私たちは、訓練の時に使用した装置と同じ大きさで、薄いピンクのヘルメットを装着します。
こちらのヘルメットは、お姉ちゃん達の脳波から解析したイメージを、私たちの脳に反映して、具現化することになります。
もちろん、断片的なイメージを送るだけではお姉ちゃん達が体験した情報を共有するだけになりますが、目の前の白衣を身につけた青年は問題ないと断言しました。

「脳波から伝わるイメージと言うよりも、その中に含まれる情報を分析して転送するようなものなものだ。
彼女たちから発せられた脳波を解析する中で、特徴的なデータがあってね。
共有無意識世界の位置情報だと推測できる。
このデータを与えることで、共有無意識世界に転送できると考えている」
そのための実験なのさ、と青年は笑っていた。
「安心してくれ、どこかの小説のように、あちらの世界での死が、こちらの世界での死にはならない」

「それにしても、すごいシステムだな」
缶詰状態から解放された斑鳩さんが、感心しながら話を聞いています。
「すごいだろうと、自慢したいところだが」
青年は声を落として、斑鳩さんに話します。
「このシステムは、佐伯グループの子会社が開発したものを改良したものだ」
「あれは、暴走したと聞いているぞ」
斑鳩さんは、表情を曇らせます。
「あのシステムが暴走したのは、システムが乗っ取られたことが原因だ。
陣頭指揮を執った日本の支社長が暴走して、止めなかったのも理由のひとつだ。
その点については問題ない」
青年は、表情を引き締めて断言しました。
「それに、元のシステムは生身の身体を飛ばすというとんでもない設計だった。
このシステムは、身体がここにある」


私とクリスお姉ちゃんは、ヘルメットに繋がっているコードの先にあるボタンを押しながら、実験開始に必要な、合い言葉を唱えました。
「リンクスタート!」
言葉と共に、白い壁で覆われた実験室や2人の妹たちが視界から消失し、真っ黒な空間が視覚を支配します。
しばらくすると、前方右側に光が見えてきます。

いつのまにか隣にいた、クリスお姉ちゃんと一緒に、光の方に向かって歩いていきます。
やがて到着した光の先には・・・

「アリスちゃん、起きて」
軽く頬を叩かれたことで、目を覚ました私は、木の匂いを感じながらあ
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