暁 〜小説投稿サイト〜
外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
ムッツリさんの最後の戦い 旅立ち編
[3/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を開発しました。
成果の一つがこれです」

斑鳩さんは、ポケットから小さな小箱を取り出すと、私たちの前に広げます。
指輪が目の前にあります。
指輪にはめ込まれている宝石はアクアマリンが埋め込まれています。確か3月の誕生石だったことを思います。

「凍らせたいものに、身につけた指輪の指で触れながら「ロリ昆布のテーマ」の30秒バージョンを歌うと氷結魔法が発動するよ」
斑鳩さんが、試してみるかい?と、私たちに砕けた口調で指輪を見せつけますが、誰も返事をしません。

誰も、「ロリ昆布のテーマ」という歌を知らなかったからです。
斑鳩さんがその事実を知って、私たちに楽しそうな表情で元になったアニメの話をしようかと提案します。
クリスお姉ちゃんが、「そんなことより話を続けてください」と白い目で見つめると、斑鳩さんは残念な表情をしました。

斑鳩さんは、気を取り直して、右手の薬指に指輪をはめこんで未だに湯気が出る湯呑みに薬指を触れながら、「ロリ昆布のテーマ」を歌い始めます。
私たちは、歌詞の内容に呆然としながらも、斑鳩さんの指先に視線を集中します。
「ああ、栄光のロリ昆布〜♪」
斑鳩さんは、私たち4姉妹の冷たい視線を受けながら、曲のすべてで裏声を駆使しながら、どこかの校歌のような曲を歌いきりました。

「!」
触れた湯呑みが一瞬で凍り付く。
私たち4人は、目の前で見せられた魔法としか表現できない現象に驚愕しています。

「イテテ!」
斑鳩さんは、表情をゆがめながら、凍り付いた湯呑みから右手の薬指を引き離します。
「この魔法を唱えるたびに凍傷するのが、問題なのだよね。
かといって、手袋を使用して魔法を唱えると、手袋自体が凍り付くという、最悪の事態を招くのさ。
まったく、実演する立場のことも考えて欲しい」
斑鳩さんは、右手の薬指に息を吹きかける。

斑鳩さんは、こんな恐ろしいことを私たちにさせるつもりだったのでしょうか?
私の疑念に気がついたのか、
「いやぁ、この魔法の欠点について、すっかり忘れていたよ。君たちにけががなくて良かった、良かった」
頭をかきながら、私たちに謝ります。
斑鳩さんは、悪い人ではなさそうです。
少し残念そうな人ですが。

「この指輪が、紛失しても魔法が発動しないように、強力なプロテクトとして「ロリ昆布のテーマ」を詠唱に組み込んでいるのさ。決して、私がこの曲を気に入っているからではない・・・」
「♪〜」

斑鳩さんの携帯から音楽が流れました。
「すまない、メールが来たようだ」
そういって、斑鳩さんは、携帯を操作してマナーモードに変更したようです。
携帯から流れた音楽が、先ほど斑鳩さんが熱唱した「ロリ昆布のテーマ」だったことについて指摘する人は、4姉妹の中にはいませんでした
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ