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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
名探偵だよ?アーベル君
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も存在するかもしれない。
どうでもいい話だが。

少女は、俺の姿をまるで、おぞましい変態を見るかのような表情で観察している。
俺は変態じゃない。
「あ、あなたが私の笛を盗んで、隠していたのね?」
「これはようせいの笛ではないのか?」
俺は、周囲の村人に問いかける。
「確かにその笛は、ようせいの笛と呼ばれている。
この子の家に伝わっている宝で、この笛が発する神秘的な音色は、魔王の呪いすら打ち砕くことができると言われている」
村人の1人が解説をしてくれた。

「そう、その笛が盗まれて、困っていたのだよ。
何故か、村人達が僕を犯人だと決めつけていてね。
本当に困っていたのだよ」
男は、獲物を狙う熊のような目つきで俺を睨むと、笑い声を上げる。
「これで、僕が無罪で有ることが証明されたよ。
ありがとう、名も知らない冒険者君」
男の周囲にいた村人達が俺を捕まえようと、俺の周囲を取り囲もうとする。

「アーベルは犯人じゃないわ!」
テルルの必死の反論も、村人達の心には届かなかったようだ。
ここからルーラかキメラの翼で逃げ出すこともできるが、逃げ出せば「自分が犯人である」と自白するようなものだ。
不名誉なえん罪は回避したい。
大魔王を倒すことが最優先だが、変質者として世界中に指名手配がかかれば、両親に合わせる顔がない。

男は、事件が解決したとばかりに、笑顔で俺に話しかける。
「やあ、本当に君には感謝しているよ。
地中に埋めて隠していれば、精霊ルビス様を助けようとする冒険者が、妖精の笛を探すだろうと思っていた。
そして、僕が笛を探す冒険者を草むらで待ちかまえていれば、計画は万全だ。
それにあそこの位置からならば、女湯も覗くことができて完璧だ。
僕はまさに天才だね。
あとは、犯人を捕まえたと感謝されて、お礼にもらった笛をなめ放題に・・・」

村人達は、俺に向けていた包囲網を、いつの間にか男に向けていた。



「また、あなたが犯人だったのね」
少女は、悲しそうな表情で男を眺めていた。
「僕もまた、ようせいの笛に踊らされただけの犠牲者の一人に過ぎないんだよ・・・。
笛だけに・・・」
男は、俺に向かってつぶやくと、満足した表情で、村人達に連れ去られていった。
上手いことを言ったつもりか。



「あなたに、お願いがあります」
無事に事件が解決し、ルビスの塔に向かおうとする俺たちを、少女が呼び止めた。
少女は、上目遣いで俺にお願いをする。
少女の愛くるしい、子猫のような表情は、男女問わず保護欲をかきたてられるだろう。
俺は、事件解決のお礼でも言われるかと、少しだけ期待しながら、少女の言葉を待った。

「その笛を、なめ回さないでもらえますか?」
少女の言葉は、あまりにも残酷だっ
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