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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
口を動かすだけの簡単なお仕事です
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「ちょっと、お食事につきあってもらっていいかしら」
「はい、喜んで」
セレンはソフィアの後をついていった。


「このサラダ、おいしいわね」
「そうですね」
セレンはソフィアと一緒に食事を取っていた。
セレンは、楽しくソフィアと話をしていたが、ふと疑問を浮かべていた。

目の前の女性は、セレンと一緒でも、姉妹と勘違いされるほど、若いと見られるが、アリアハンの宮廷魔術師を任されている。
魔法の研究をするだけでなく、アリアハンで発生した事件の解決を依頼されることもある。
そのため、忙しいはずであるのだが、ゆっくりと食事をしている。
問題ないのだろうか。

セレンの心配をよそに、ソフィアがセレンに質問を行った。
「ところで、セレンちゃん。
元気になったようだけど、家での修行は順調かしら」
「ええ、おかげさまで」
「それはよかったわ。
ところで、見て欲しいものがあるの」
ソフィアは鞄から、細長い木の箱をテーブルにとりだした。
「これは、・・・」
セレンは箱をしげしげとみつめていた。
ソフィアはセレンの反応を確認すると、木の箱のフタをとりはずす。
「あら」
セレンはびっくりした。
自分が手伝った仕事の成果品が手元にあった。

ソフィアが、セレンの反応を確認するようにしばらく黙っていたが、口を開いた。
「セレンちゃん。
この仕事には、どう関わっているの」
「アンモンさんという人から、笛の音を確認して欲しいと頼まれました」
「あら、そうなの。お疲れ様」
ソフィアは、満面の笑みを浮かべた。
「嬉しそうですねソフィアさん」
「ええ、そうよ」
ソフィアは、笑みを崩すことなく言葉を続ける。
「何も気にすることなく、潰すことができるから」
ソフィアは席を立つと、セレンに話しかける。

「ごちそうさま。
またこんど、ゆっくりお話をしましょう」
ソフィアはこちらを振り返ることなく、会計をすませると、店を出て行った。



「ごめんなさい」
「気にしなくていいのよ、セレンちゃん」
一週間後に、セレンはソフィアの家に招かれていた。
そこで、セレンは自分が行った行為の結果を知ることになる。

セレンが性能試験のために使用された笛は、全て「セレンちゃん使用済みの笛」として、闇の世界において高値で取引されていた。
セレンには見せなかったが、ソフィアが持っていた笛が入っていた箱の中には一緒に「セレンの肖像画」なるものが入っていたらしい。
ちなみに、「セレンの肖像画」は、ソフィアが可愛い息子の為にロマリアに輸送を手配したらしい。
肖像画のことはともかく、笛は売れに売れたらしい。
そこでの売り上げにより、アンモンという人物が莫大な利益を独占していた。

アリアハンで、急に笛を持ち歩く男
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