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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
口を動かすだけの簡単なお仕事です
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酒をつぎ込むモリデンに提案した。
「それならば、私が買いましょうか」
「なんだと」
モリデンは、驚愕と不審に満ちた表情で、スーツを着たアンモンに視線を移す。

「ええ、あなたの作品は素晴らしい物ばかりです。全て買い占めます」
アンモンは、どこから持ち出したのかずっしり重い袋をテーブルの上に載せてきた。
袋から、金貨がこぼれ出す。
「本当か」
「ええ、もちろん」
アンモンの表情から笑顔が消えることがなかった。



「口を動かすだけの簡単なお仕事です」
「そうですか」
男の提案に、目の前の少女は聞き込んでいた。
薄い水色の長い髪が特徴的な少女は、アリアハンの僧侶の中で一番人気が高かった。
とてもかわいらしく、おとなしく、そして誰に対しても優しく接しているからだ。

彼女が、肉親以外で特別な感情を持っている異性の相手が一人だけいるのだが、その男はアリアハンから遠く離れたロマリアで、別の仕事をしていた。
一方話しかけてきた男は、司祭の服装をしていた。
男の髪は帽子に隠れていて形状が見えないが、後ろに見える髪の色は金色であった。
司祭の服装は、とても質素な様子だが、キチンと整えられており、日常から着こなしていることが伺える。
そして、人に好かれそうな笑顔は、長年修行していなければ身に付かないだろう。



街中で、少女は男性から声をかけられた。
「セレンさんですね」
セレンと呼ばれた少女は、沈みがちな表情を打ち消すと、声をかけてきた男のほうへ向き直る。
セレンは、先日まで、アリアハンの教会でお手伝いをしていたのだが、教会の偉い人から、しばらく自宅で修行するように懇願されていた。
セレンは逆らうわけにもいかず、自宅で日々を過ごしていたが、教会の人たちのお役に立てないことを考えると、気分が沈みがちであった。
「はい、あなたは・・・」
「はじめまして、セレンさん。
私は、先日までロマリアで独自に修行をしておりました僧侶のアンモンです」

アンモンと名乗った男は、慎み深く一礼する。
「・・・」
セレンは目の前の男に緊張していた。
セレンは、人見知りする性格がある。
冒険にでてある程度慣れていたが、3人で冒険していたからだ。
今は、周囲に1人しかいない。

アンモンはセレンの態度に理解したのか、視線の高さをセレンにあわせて、小さくつぶやいた。
「アーベル王からのご依頼で来ております」
「アーベルから!」
「お静かに、セレンさん」
アンモンは、にこやかな表情をわずかにくずして、喜びの表情をするセレンに注意を促す。
「アーベル王からは、極秘にと言われております。無論、テルルさんにも内緒でとおっしゃっております」
セレンは両手で口をふさぎながら、うんうんと大きく頷いている。
アンモ
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