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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
口を動かすだけの簡単なお仕事です
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十分発揮した。
このため、アンモンはモリデンの話を次のとおりとりまとめた。
「モリデンさんは、著名な楽器制作者であると」
「ああそうだ。王宮に代々楽器を献上していたのは当家だけだ!」
「それなのに、キセノン商会がしゃしゃり出てきたと」
「おう!そうとも」
モリデンは、叫び声を上げるとコップに入っていた酒を飲み干す。
キセノン商会は、アリアハン国内の著名な楽器職人を集めて、一つの同業者組合を作った。

同業者組合は、相互扶助の組織で、互いの技術の提供による品質の向上や、新製品の開発、安定した流通の確立を主目的とする。
同業者組合の設立は、これまで各自で苦労していた問題を、組織化することで一気に解決する。
このことで、職人達も安定した収入を確保することになる。
また、後継者の育成にも一定の役割を果たす。
若者達も将来的に安定した収入が得られると考えれば、よい人材が集まってくる。

キセノン商会は、組織の設立と資金提供を行っているが、利益を独占するつもりはないと、ことあるごとに明言している。
実際、流通に当たっては、キセノン商会の独占はされていない。


モリデンも当初同業者組合の趣旨に賛同し加入していたが問題が発生した。
王家への、楽器納入である。
モリデンがこれまで王家に献上していたのは、家畜の骨を加工した笛であった。
家畜の骨を加工しているため、ある程度大きさがそろっていたが、形状が微妙に異なり、式典での演奏時に、楽器に合わせて席順を毎回調整する必要があった。

アリアハン王家からの「形状、大きさを統一するように」の依頼を果たすため、組合が考案したのは木製への素材変更だった。
数年に渡る研究の成果により、できあがった製品は、王家の要求を満たす水準に達した。
現在では、金属製の楽器への移行を考えており、既に試作品は王家に献上され、ファンファーレに使用されることになる。

ところが、モリデンはこの計画に反対した。
組合に加盟した他の職人から、計画に参加するように働きかけがあったのだが、モリデンはすべてはねのけた。
キセノンは、組合員ではないにもかかわらず、直接モリデンに計画への参加をお願いした。
しかし、モリデンにとって逆効果であったようで、「俺を追い出すための謀略だ」と騒ぎだし、結局組合から離脱した。

組合から離脱したことで、モリデンの経営が悪化した。
組合に加盟している職人の商品は、高い評価が得られているため、逆に加盟していない商品の価値が下落したのだ。
そして、王家への納入は、今後同業者組合が納品することになる。
そして、自分のこの先に未来が見えないことから、昼間からこうして酒を飲んでいるということだった。

「よくわかりました」
話を聞き終えたアンモンは、頷くとグラスに新しい
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