21部分:第三幕その四
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第三幕その四
「ロザリンデ、来てくれたのか」
「アルフレート、今のうちよ」
彼女はアルフレートに対して囁いてきた。
「帰りましょう」
「帰るのかい」
「そうよ、今のうちに。うちの人が来ないうちに」
「それだけれどね」
「どうしたの?」
「どうも」
そこに伯爵が戻って来る。フリントの変装をしている。結構上手く化けていてイーダとアデーレ以外にはわからなかいようであった。
「弁護士さん」
「おお、奥様」
「貴方はいらないのですが」
「そう邪険には為さらないで」
彼の口真似をして述べる。
「どうか」
「旦那様よ」
「そうなの。おかしいと思ったら」
アデーレとイーダは彼を見ながらヒソヒソとやっていた。
「さて、様子を見るか」
伯爵は変装の裏で呟いた。
「どうしてくるのか」
「怪しいわね」
奥方もその弁護士に化けた伯爵を見て呟いた。
「何か雰囲気が違うわ」
だが酒のせいではっきりとは気付かない。酒の悪戯であった。
「それで奥様」
伯爵は素性を隠して妻に言ってきた。
「何でしょうか」
「宜しいでしょうか。ここでですね」
(さて、正念場だ)
彼は心の中で呟いた。
(頭にくるが慎重にだな。慎重に)
(落ち着いていかないと)
奥方も同じことを考えていた。目指すものは違うが。
(何か怪しいし)
「仔細を私にお話して下さい」
伯爵はこう申し出てきた。
「宜しいでしょうか」
「いえ」
だが奥方はそれを話そうとはしない。用心していた。
「これは独特なお話ですので」
「だからこそ私がいるのではないですか」
彼は言う。
「弁護士が。違いますか」
「実はですね」
「ちょっと」
「いいから」
かなり酔っているアルフレートが勢いのまま言ってきた。奥方の制止も聞かない。
「昨日のことです」
「はい、昨日の」
伯爵はさらに言うように急かす。
「間違えられてここに連れて来られて」
「間違えられてですか」
「そうです」
(やはりな)
伯爵はそれを聞いて心の中で呟いた。
(これで間違いない)
「まあ当然ですな」
「ちょっと待ってくれ」
アルフレートは伯爵に突っ込みを入れた。彼は正体には全く気付いてはいない。
「君は弁護士だよね」
「そうです」
胸を張って答える。
「その通りです」
「最低の弁護士だがね」
「ですか」
看守は所長の囁きを聞いていた。
「どんな無実も有罪に、刑罰を増やしてくれる弁護士だ」
「どうしようもないですね」
「そのわりにはおかしくはないかね」
アルフレートは伯爵に問う。
「その様子は」
「何処がでしょうか」
(当然だ)
伯爵はまた心の中で呟いた。
(見ていろ。今に)
「全ては偶然な
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