21部分:第三幕その四
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のです。何もありませんでした」
奥方は潔白を言い出してきた。
「けれどうちの人がそれを知ったならば」
(そら、来たな)
これこそが伯爵の待っていた言葉であった。心の中に棘が宿る。
(そうきたなら)
「絶対に潔白だとは思わないでしょう」
「そうでしょうな」
「そうでしょうなとは」
奥方も伯爵の言葉に顔を顰めさせてきた。
「貴方は弁護士さんですよね」
「先程から何度も申し上げている通りです」
また胸を張ってみせてきた。
「ですから弁護を今」
「そうしているようには見えませんが」
「それは気のせいです」
「いえ、気のせいではなく」
奥方だけでなくアルフレートも言う。
「明らかにおかしいですわ」
「その通りだ」
二人は同時に言ってきた。
「どういうつもりなんだ、一体」
「私達の潔白を証明してもらうどころか」
(当然ではないか)
伯爵は二人の言葉を聞いてまた心の中で呟く。
(私は復讐の準備をしているのだからな)
「とにかく」
威厳ぶって言ってきた。
「申し上げて頂きましょう」
「だから何を」
「貴方は一体」
「よいですか」
アルフレートと奥方に対して述べる。
「何が起こったのかを全て申し上げて下さい」
「どういう意味ですか」
奥方も流石にむっとしてきた。整った眉を歪めさせてきた。
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