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形而下の神々
ナツキ・エンドーと白い女神
失踪者ナツキ・エンドー
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 ―3日前―

 そして、時は遡ること3日前。

 また例の如く『友人』と称して内線が鳴り、今度はグランシェの少し深刻そうな声が聞こえて来た。その内容は寒い日が続いて鬱陶しいと感じ始めていた11月寒空に驚愕の悲鳴を響かせ、更に俺の背筋を凍らせるには充分過ぎる内容だった。

「ナツキ・エンドーが……見当たらないんだ」

 開口一番、電話口で彼はそう言ったのだ。いや、人が行方不明になるとか訳わかんねぇし。

 その後少し間をおいて聞いた詳しい話に寄ると、グランシェと遠藤とは会う約束は出来ていたらしい。ただ、普通に会う約束をしていたのにも関わらず突如このような非常に面倒な事件が起きたのだ。


『パリ市内の住宅街に住んでるって言ってたのにさぁ……居ないんだよね〜。指定された住所の所へ行っても』

「はぁっ!?なんでだよっ!!」

『知らないよぉ〜。今やちょっとした売れっ子だから締め切りとかに追われてるんじゃない?』


 とは言っても不自然な所が多過ぎた。

 指定された住所に家はあり、つい数日前まで人が住んでいたらしいのだがその部屋には家具一つ無く、髪の毛一本落ちていなかったそうだ。

「まるで何かから逃げてるみてぇだな……」
 何気に失礼な話だが、これが素直な感想だ。その相手は恐らくグランシェか?
 まだ確証は無いが、手掛かりが無いのは非常に厄介だ。

『何から逃げるのさ……警察?』
「いや、知らねぇけど……」

『…………』

 考え事をしながら適当に返答していると、電話口はまさかの沈黙。


「何か喋れよ!!」
 沈黙はイカン、特に電話で沈黙されると完全に何もする事が無くなってしなうではないか!

『え、いやぁ……どうせタイチは探すんだろ?だったらどうやって探したもんかなって考えててね』
「おぉ、流石はプロだな。もうそんな事考えててくれてたのか」

 正直、予想外だった。

『いや、俺は傭兵であって、白兵戦のプロではあるが探し物は苦手だよ』
 「あ、そっか。まぁ、こちとら常に文明の証拠を探してんだ。探し物のプロは俺だな」

 木の文明は予想以上に尻尾を掴ませてはくれないけどね。

『証拠見付けた事、無いけどね』
「…………」


 それは言っちゃダメなお約束だよ……。人に言われるとへこむし、何気に。
 そう思って少しナーバスな沈黙をしていると、今度はグランシェがそれを破った。


『……で、どうやって探そうか?』
「そうだなぁ……」

 っていうか人捜しは専門外だし。


「とりあえず、親族に連絡するとかは?」
『天涯孤独。親兄弟も居ないみたいだし、正直、出生もハッキリしてないみたいだよ』

 この文明の時代に、しかも作家に成
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