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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
番外編:バトル・ロワイアル
番外編 第五話 Bブロック予選
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を後にした。

 エギルが退場し、競技場内にはホークとユカのみが残された。ユカは部位欠損で相変わらず動けない状況だが、先ほどホークとエギルが話している隙に、持ってきた全ての短剣をオブジェクト化して自分の周囲に積み上げておいたため、彼女は現在武器に囲まれて要塞状態となっている。対するホークは投剣スキルを習得していないため、ユカに攻撃するには近寄るしかない状態だ。しかし迂闊に近寄ろうものなら、麻痺と貫通ダメージですぐに負けてしまうだろう。どちらも動けず、二人は睨み合ったまま静止した。

 五分が経過した。観客も静まり返り、二人の戦況を見守っている。ユカがちらりとHPゲージを確認し、部位欠損が回復する時間が迫っていることを確認するのと同時に、ホークが地を蹴った。
 ホークの鍛え上げた敏捷性のおかげで、二人の間がどんどん詰まっていく。両手で次々と短剣を投げるユカだが、ホークは先ほど彼女がエギルに短剣を投げた時の投げ方を見て、その癖を見切っていた。まるでどの位置に短剣が飛んでくるのか知っているかのようにそれらの短剣のほとんどを回避していく。それでもユカが放った十数本の短剣のうち、三本がホークの身体に突き刺さった。HPゲージの下にダメージ毒を示すアイコンが明滅する。二人の間があと10メートルほどに迫った時、ホークは自分の左腕付近に飛来する、緑色の麻痺毒に刀身を濡らす短剣を見た。

 刺さった、とユカは確信した。そしてその短剣は確かに左腕に突き刺さっていた。しかし、ホークの左腕ではなく、ユカの左腕に。
 ホークは、避けられない短剣を自らの短剣で斬り飛ばし、ピッチャー返しの如くユカに向けて放ったのだ。投剣スキルを持たないホークの、最後の手段だった。

 オーディエンスの歓声の中、ホークは倒れ伏したユカに歩み寄った。
「ずるいわよ」
 部位欠損からは回復したものの、今度は麻痺で動けないユカは息も絶え絶えといった様子で呟く。
「それ、エギルにも言われた」
「やるわね、アンタ」
「そりゃどうも。1000コルの恨みは怖いって覚えておくといいさ」
「1000コルの恨みかあ。ふふっ、バカねえ」
「バカで結構。あのさ、俺が毒で負ける前に降参してくれると助かるんだけど」
「嫌よ」
「それは残念だね」
 ホークは心底嫌そうに短剣を振り上げた。


「プレイヤー『ユカ』のHP半損を確認した。プレイヤー『ホーク』、決勝進出が確定。次の試合が始まるため、選手諸君はすみやかに退場したまえ」
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