■■SAO編 主人公:マルバ■■
番外編:バトル・ロワイアル
番外編 第五話 Bブロック予選
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たが、ホークのバトルスタイルを知らなかったため、状態異常持ちの短剣で直接斬りつけられることに対して対策をとっていなかったのだ。ユカの攻撃に対応できるよう軽装で臨んだのが間違いであった。斬撃を防ぐならせめて金属製の鎖帷子などを装備しておくべきだった。
エギルの動揺を見逃すユカではなかった。今度は麻痺毒を仕込ませた短剣を数本、ポーチから抜き出し、間髪入れず投げつける。エギルはそれを両手斧でガードした。ユカは取り出した分を全て投げ終わると、とりあえず残弾数を補充するためにメインメニューを開いた。もちろんエギルからは十分に距離を取っていて、たとえ最上級の突進スキルを利用してもユカの位置に来る前に回避ができる。またホークの接近は《聞き耳》スキルで確認できる。そう踏んだ上での行動だった。
しかし、その油断が隙となった。ウィンドウに目を落としたユカは、嫌な予感に一瞬だけ視線を上げ、こちらに向かって一直線に飛んでくる両手斧を発見して思わず悲鳴を上げた。
投擲スキル。《投剣》スキルの中級MODで、複雑なスキルツリーの奥深くに存在する、かなり特殊なスキルだ。動かすことのできるありとあらゆる物体、サンドウィッチから両手斧、果てにはプレイヤーまで、筋力値が許す限り持ち上げられるものならなんでも、投剣のように投げ飛ばせるというスキルである。エギルは基本的にはまさにピュアファイターなのだが、筋力値よりのプレイヤー故に逃走する隙を作るのが難しい。逃走時に意外と投剣スキルに頼る場面が多く、熟練度も400に到達するくらいには使っていたため、こんなMODも取得していたわけだ。
即座に後ろに跳んだユカだが、右足から下をバッサリと斬り飛ばされ、HPも一気に三割ほど減ってしまった。部位欠損により立ち上がることができないユカは、補充した麻痺毒入り短剣を投げて牽制する。投擲して武器を失くしたエギルはそれらを避けつつ、ユカにとどめを刺すために近寄っていくが、ここで敏捷性の低さが裏目に出て、思った以上に短剣を喰らってしまった。対麻痺毒ポーションの効果が切れ、たちまちのうちに麻痺に陥ってしまう。
さて、これでエギルとユカの両者が両方とも動けなくなってしまった。ホークはとりあえず部位欠損で動けないユカを置いておいて、解毒結晶ですぐに動けるようになるはずのエギルを先に倒すことにした。うまく動かない左腕でポーチをまさぐっていたエギルは、ホークの姿を認めて思わず苦笑した。
「お前、ずりいぞ」
「何言ってんだか。ハイディングの対策をしてないアンタが悪い」
「へへ、そうかよ。しゃあねえな、この試合は俺の負けだ」
参ったよ、とエギルは呟いた。
「プレイヤー『エギル』の敗北宣言を確認した。直ちに退場したまえ」
ヒースクリフのアナウンスにぼやきながら、エギルはとぼとぼと競技場
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