食堂政談
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長は憲法である同盟憲章の番人である同盟最高裁判事を指名するのだが、この最高裁判事の可否は上院たる評議会の承認によって決められる。
また、同盟にとっての最重要課題である同盟外交安全保障は、評議長が議長を務め議長を除く定数の四人全員が評議員によって構成され、同盟議会によって承認される同盟外交安全保障会議によって決められ、全会一致を原則としていた。
なお、国防委員は行政機関である国防委員会に所属しており、同盟外交安全保障会議とは別物である事に留意してほしい。
「たしか人形師の退任の台詞でしたか。
『私は議員諸君に石もて追われる事になるが、一つだけ議員諸君に誇ってこの席を去りたいと思う。
私を含め、730年マフィアは誰一人ルドルフにはならなかった』でしたっけ。
あの演説によって道化師の評価が確定し、友愛党の失政によって、その再評価も始まっているとかなんとか」
ヤンの長い説明をまとめたのは空気を呼んだチャン・タオ上等兵だった。
事実、この国家組織による権力分散によって、道化師はルドルフにならなかったし、友愛党の失政においても政府組織が機能していたのはこの分散された権力によってなのは間違いが無い。
そこまで黙って聞いていたアルテナ航海長が、ぽつりと自分の考えを口にした。
「もしかして、ルドルフを生み出した銀河連邦の名前を嫌ったから?」
ヤンはアルテナの答えに笑顔を見せながら、カップに残っていた紅茶を全部飲み干した。
「そこは誰もわからないさ。
ただ、そんな可能性も否定できない。
そして、そんな可能性を口に出しても誰も罰する事ができないこの自由惑星同盟を、私はそれなりに気に入っているんだよ」
その顔が不機嫌になったのは、同盟議会議員から評議員選挙に立候補したヨブ・トリューニヒト氏が映ったからだろう。
それに気づいて、アルテナが苦笑しながら立体TVのヨブ・トリューニヒト氏を指差した。
「彼、国防族のプリンスとして、730年マフィア以来の国防族議員の評議長の椅子を狙っているそうですよ。
この選挙に勝利したら、どこかの委員長だそうで」
ヨブ・トリューニヒト氏は長身で姿勢の良い美男子で、服装や動作は洗練され、行動力と弁舌に優れ、国立中央自治大学を主席卒業した秀才。
その在学中に、予備役将校訓練課程を受け卒業後軍務につき、ここでも優れた成績を収める。
自由惑星同盟防衛大学校へ誘われたが、大尉にて退役。
人形師の政策秘書として政治に参加し、国防族若手として同盟議会選挙に出馬、国防族票を手堅くまとめて当選し国防委員として活躍。現在に至る。
「帝国やフェザーンとの間も怪しくなっているし、人々は英雄を求めているのかもしれませんね」
アルテナの言葉に、チャン・タオは曖
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