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銀河英雄伝説 アンドロイド達が見た魔術師
食堂政談
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なる。
 ここに腐敗や不正の温床があり、えてして1人の為に99人が泣きをみたりなんて分かりやすい不正なんて中々出てこずに、社会から広く薄くしぼりった利権をこっそりと吸いすぎてばれるケースが後を絶たない。
 これを避ける為に機械で効率よく51人を選んでしまえばいいのだが、51番目と52番目が双子だった場合、何の比もないのに片方が助からない事になる。
 実を言うと銀河帝国の開祖ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムの風潮を色濃く残しているのは、商業国家ゆえに激烈な競争社会であるフェザーンであるという笑えないオチに史学専攻生だったヤンは乾いた笑いしか出てこなかった覚えがある。

「退屈そうに見ていますね。艦長」

 コップがテーブルに置かれる音と共に紅茶の香ばしい香りがヤンの鼻をくすぐる。
 このあたりの気配の消し方といい、タイミングの計り方といい、出される紅茶の味といい、チャン・タオ上等兵は従兵を極めていた。
 今の航海である点検整備の為のバラート星系行きの後兵長に昇進して退役する事が決まっており、退役後はハイネセンポリスで喫茶店をする事にしているらしい。
 なお、准尉が必死にチャン・タオ上等兵の味を極めようとして極めきれず、お姉さまに泣きついて彼の店に一人アンドロイドを派遣する事になり、そのデータによってアパチャー・サイエンス・テクノロジー社製造アンドロイド『リトルメイド』シリーズの上位派生バージョン『瀟洒』が出る事になるのだが、専制貴族国家である銀河帝国に馬鹿受けしてフェザーン経由で販売されるという笑い話のオチとなる。
 閑話休題。

「実際退屈だよ。
 とはいえ、見ておかないとどんな馬鹿が出るか分からないからね」

 友愛党政権時代、彼らが国内政策において不正腐敗の一掃と行政効率化の推進を掲げて国防予算の仕分けを行い、その仕分け対象に『人を殺す技術のみ教えればいい』という放言の元、士官学校の史学研究科の廃止を提案したのを知っていたら、いやでも政治を見なければいけないとヤンも悟らざるを得ない。
 これらの仕分けは国防族議員と同盟政府官僚の必死の抵抗と、理念しかない友愛党議員の無能と、これらをはじめとした国政混乱による弱体化を喜んだ銀河帝国の侵攻によって完膚なきまでに粉砕される事になるがそれは別の話。
 ヤンは紅茶を味わいながら、気分転換にチャン・タオ上等兵にとりとめのない話を振って見る事にした。

「そういえば、何で我等のご先祖様は銀河連邦を名乗らなかったんだろうね。
 宇宙暦まで復活させたのに」

「私はそんな難しい事はわかりませんな」

 そういうと思ったと続けようとしたヤンの声をさえぎったのは、女性の声だった。

「おもしろそうな話をしていますね。艦長。
 ここ、よろしいですか?」

 アルテナ航
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