投刃と少女
とあるβテスター、赤面する
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ったからだとオレは考えている」
彼らはSAOを他のMMOと同じ物差しで計り、引き際を見誤った───と、エギルは続けた。その意見は至極もっともだ。
ベテランMMOプレイヤーだったからといって、同様にSAOで戦っていけるかどうかと問われれば。答えは否だろう。
そもそも、マウスとキーボードで全ての操作ができる今までのMMOと、自分の身体を動かして戦うSAOを比べること自体、無理があるといってもいい。
MMO経験者であるシェイリがそうだったように、中にはベテランでも『画面の向こう』と『目の前の光景』のギャップについていけない、という人だっていたはずだ。
このSAOにおいて、他のMMOと同じ感覚で狩りをしようとすれば───集中力を切らし、ほんの少しの油断が生まれた瞬間、待っているのは“現実世界での死”だ。
いやまあ、ついさっきコボルドに真っ二つにされかけたおまえが言うなって思うかもしれないけど。
「だが今は、その責任を追及してる場合じゃないだろ。オレたち自身がそうなるかどうか、それがこの会議で左右されると、オレは思っているんだがな」
それはさておき。
僕が言いたかったことは、代わりにエギルが全て言ってくれたようだった。
キバオウはまだ何か言いたさそうにしているけれど、真正面から真っ当な意見をぶつけられ、おまけに相手は自分より数段体格のいい巨漢……と、彼が反論する余地はなさそうだ。
更にディアベルが仲裁に入ったことにより、キバオウは負け惜しみじみた一言を残し、一度だけエギルを睨んでから集団へと戻っていった。
───うん、行かなくてよかったかも。
キバオウが黙ったのは、相手の風貌に気圧されたというのも大きいだろう。
高校生の平均身長しかない僕が同じことを言ったところで、足元を見て難癖つけられていたに違いない。
エギルのお陰で議論の方向も元に戻ったようだし、キバオウを止めてくれた彼には感謝しないと、と思った瞬間。
───え?
不意に、こちらを振り向いたエギルと目が合った。
それだけならよかった。こちらを向いたのも偶然だったかもしれないし、目が合ったのもたまたまだと思えれば。
だけど。エギルはなにやら『言ってやったぜ?』といった感じのドヤ顔をすると、こちらへ向けてサムズアップしてきたではないか……!
───ま、まさか、
見られていたというのか……!?
キバオウを止めようと中途半端に立ち上がり、タイミングを逃してすごすごと座り込むという、あの情けない姿を……!
───う、う、うわああぁぁぁぁ………!
「……?ユノくんどうしたの?顔赤いよ?」
「……、ほっといて……」
羞恥で頬が紅潮するのを感じながら、シェイリには見えないよう俯いたままサムズアップを返す。
そんな僕の様子を見て、エギ
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