投刃と少女
とあるβテスター、赤面する
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
も忘れ、思わず呆気に取られてしまった。
なぜなら、さっきのバリトンボイスの主は、身長2メートルに届くかどうかという程の巨漢で。
彫りの深い顔立ちに、髪型は完全なスキンヘッド。チョコレート色の肌に、身体のほとんどは筋肉で出来ているんじゃないかと思ってしまう程のガタイのよさ。
背中にはシェイリが使うものによく似た、武骨な両手斧を背負っている。だけど、武器に背負われてる感じのするシェイリとは違い、この人の場合は巨大な両手斧すらも小さく見えてしまう。
「………」
「どうしたの、ユノくん?」
「いや、何でも……」
両手斧というのはああいう人が使う武器なんだよ、と言いたくなるのを何とか堪え、視線を広場中央に戻す。
彼女は新調した武器をいたく気に入っている様子だし、ここでケチをつけようものなら『えー?だってこれ使いやすいよ?なんならデュエルしてみる?』とか笑顔で言われかねない。
死ぬ危険性のないデュエルとはいえ、あんなゴツい斧で真っ二つにされるのはごめんだ。自分から地雷を踏みに行く趣味は僕にはない。
───いや、待てよ?接近戦に持ち込まれる前に投剣でちくちくやれば、勝てる可能性も…………無理か。
投剣スキルは射程が長い分、威力は近接武器より劣る。
頑張って一発や二発ソードスキルを命中させたところで、硬直中に接近されて真っ二つにされるのがオチだ。
ましてや、短剣で鍔迫り合いなんて論外だ。受け止めようとした腕ごと持っていかれかねないだろう……あれ?ひょっとして彼女のほうが強いんじゃ……?
「オレの名前はエギルだ。キバオウさん、あんたの言いたいことはつまり、元ベータテスターが面倒を見ないかったからビギナーがたくさん死んだ、その責任を取って謝罪・賠償しろ、ということだな?」
「そ……そうや」
守ると言ったはずの相手にいつの間にか追い抜かれていた、という事実に僕が軽くショックを受けていると。
さっきまで散々言いたい放題だったキバオウは、エギルと名乗ったプレイヤーの風貌に圧倒され、怯んだように片足を引きかけていた。
キバオウは男にしては小柄なほうだし、エギルは日本人離れした(もしかすると本当に外国人かも)体格をしているため、その反応は無理もないだろう。
「ベータ上がりの全員が全員、おいしい思いをしてると言うが、その根拠はどこにあるんだ?」
「根拠やと?んなもん、こんクソゲームの現状見ればわかるやろが!右も左もわからん奴が2000人も死んどるんやで!しかもそのほとんど全部が、他のMMOじゃトップ張ってたベテランやったんやぞ!」
───またそれか。
明確な根拠も出さず、この期に及んで死んだ人達をダシにするキバオウのやり方に、内心で嫌気が差してくる。
確かに、彼が並べている言葉をそのまま鵜呑みにするのであれば、βテス
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ