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とあるβテスター、奮闘する
投刃と少女
とあるβテスター、赤面する
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いると。
やがてディアベルの立つ噴水の前に、一人の男が歩み出てきた。

「ワイはキバオウってもんや。あんたらと仲間ごっこする前に、こいつだけは言わしてもらおか」
小柄ながらがっちりとした体格に、かなり独特的な髪型をした茶髪の男だった。
キバオウという名前といいサボテンみたいな髪型といい、『この人だけまだアバター姿のままなんじゃ?』と思えて仕方ない。
というか、現実世界でこんな髪型の人に遭遇したら絶対笑ってしまいそうだ。

「こん中に、このゲームの全プレイヤーに対してワビ入れなあかん奴らがおるはずや。ベータテスト上がりの連中がな!」

───へ?

キバオウの特徴的な髪型にばかり気を取られていたせいで、一瞬彼が何を言っているのか理解が追い付かなかった。
その時の僕は周りから見て、かなり間の抜けた顔をしていたに違いない。

───謝罪?ベータテスターが?何に対して?

僕が頭の中で疑問符を浮かべていると、それに応えるかのようにキバオウは続けた。

曰く、あの“はじまりの日”、元ベータテスター達は右も左も分からない初心者達を見捨て、自らの保身に走った。
曰く、元ベータテスター達は効率のいい狩場やクエスト情報を独占し、他のプレイヤー達のことを一切省みることがなかった。
曰く、彼らのせいでたった一ヶ月で2000人ものプレイヤーが死んだ───

周りがシンと静まり返った中で、キバオウは『元ベータテスターがいかに汚いか』『彼らがいかに自分達だけおいしい思いをしているか』を熱弁していく。

「こん中にもおるはずやで、ベータテスト上がりの奴が!そいつらに土下座さして、貯め込んだ金やアイテムを吐き出してもらわな、パーティメンバーとして命は預けられん!」
「──ッ!!」
最後の言葉を聞いて、僕はキバオウという男の真意を感じ取った。
結局のところ、キバオウはこれを言いたいだけだったのだろう。
『ベータテストの知識を持ったプレイヤー達からお金やアイテムを吐き出させ、取り分を自分達に回せ』、と。
口では死んだ人達のことを考えているような言い方をしているけど、死んだプレイヤー達に詫びを入れろだとか、命を預ける預けないだとか、そんなものは全部建前で。
要するにこいつは、自分がおいしい思いをできなければ、何でも気に食わないタイプの人間なんだ。

元々MMORPGなんていうのは不特定多数のプレイヤーが存在する以上、多かれ少なかれ、ある程度の格差が生まれるのは仕方がない。
だけど。どのMMORPGにも必ずキバオウのようなタイプの人間がいて、そういった人達はそれをよしとしない。
人より少し強かったり、貴重なアイテムを持っているという理由だけで、相手を匿名掲示板で執拗に叩くことだってある。
『ネットゲーマーは嫉妬深い』なんて言わ
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