第3試合
【第3試合】 VS幼女超人キン肉マンデヴィリンス(2)
[3/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
日も来る日も、人目を避けるように端っこの方で隠れながら、水道水を絞ったタオルでごしごし、がしがしと、全身を拭いたのですぅ……俗に言うタオル風呂ですぅ……心地の良い適温のお湯に浸かることもできず、冷たいタオルで身を震わせながら、タオルが人肌の温かさになるまで全身を拭いて……石鹸で泡立てたタオルで拭うこともできず、ごわごわに毛羽立ったぼろぼろの濡れタオルで素肌を擦り上げる毎日……少女はいつも最後には、全身を拭ききったタオルで、頬を濡らしている涙をぬぐい取るのですぅ……」
「本当に底辺……じゃなくて、大変だったんだね、ミーノちゃ……じゃなくて、その女の子」
ミーノはぴくんと眉を動かすも、何事もなかったかのように話を続ける。
「その愛くるしい少女は、本当にもう、どうしていいのかわからなくて、どうしようもなくて、どうにもならなくて、心細くて、ひもじくて、何度もくじけては立ち上がって、何度も泣いて、寒いおもいをして、暑いおもいをして、冷たいおもいをして、熱いおもいをして、とにかくもう、辛くて辛くて………………うわああぁぁああぁぁああぁぁんッ!」
ミーノは何を思い出したのか、感極まって泣き出してしまった。
「えええぇぇぇえええ!? いきなりの号泣モード?! いったい何がしたいの、ミーノちゃん」
凛香は泣きじゃくるミーノに、いないいないばぁをしたり、よしよしと抱き締めたり、頭を撫でてあげたりと、泣きやますのに必死になる。
「ひっく、ひぐぅぅ……と、とにかく、そのチャーミングな少女は来る日も来る日も、大変なおもいをして、訪ね人を探し回ったのですぅ。その間、所持金を使い果たした少女は、完全ホームレスな、その日暮らしの放浪生活……もはや旅とは言えない、地獄の日々を過ごしていたのですぅ……」
凛香はミーノの話を聞いていて、奇妙な違和感にさいなまれる。
「ちょっとまってよ、ミーノちゃん。それって変じゃない? ミーノちゃ……じゃなくて、その女の子は特別な任務を受けてたんだから、当然、資金援助があったんじゃない? っていうか、日々の生活費って必要経費でしょ? そもそもなんで、ひとりで探してたの? 人探しなんだから、単独行動じゃなくて、チームを編成して行動したほうが、全然効率がいいのに」
ミーノから笑顔が消え、表情が曇る。
「そ、それは………………うわああぁぁああぁぁああぁぁんッ!」
またも泣き出すミーノ。
「えええぇぇぇえええ!? またも号泣モード?! ミーノちゃん、泣きの確変に入っちゃってるの!?」
凛香はまたもやミーノを泣きやませるのに必死になる。
裸の凛香は、裸のミーノをだっこしたり、おんぶしたり、変顔版いないいないばぁをしたりと、まるで手のかかる乳児をあやしているかのようであった
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ