大切な人
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ホラ、どうだ?体の感覚はあるのか?死ぬ前の感覚ってどんな感じなんだ?なぁ!!」
「あああああ!!」
ゲツガはこの世界でもこの台詞を聞いたのでデジャブを感じたがこの世界で奴らは一度も干渉してこない。だから、この世界で死んでしまうという恐怖がこみ上げる。槍が背中の十字架まで届くと玖珂はようやく槍から手を離したが、ゲツガの意識はもうほとんど虚ろになっている。
「お願いです……お願いします……これ以上……これ以上はもう、止めて下さい……ゲツガ君を……傷つけないでください」
玖珂はそれを聞くとにやりと笑ってからユキの前に膝を着いた。
「早く言って欲しかったな。早く言ったら、彼、あんなに傷つかなかったのに。やめてあげるけど、ただし条件がある」
「聞くな……ユキ……」
ゲツガは喉から絞るような声を出すが、それを聞いた玖珂にはいいと思われなかった。
「何、喋ってんだよ!屑が!!」
そう言って新たにギロチンの刃のようなものを出現させるとそのままゲツガの腕に向けて飛ばしてきた。意識が朦朧とする中で、まったく見えてなかったゲツガは、トンという音が耳の横で聞こえたため力を振絞ってその方向を向く。そこには黒い刃物があり、自分の肩より少し下を切断していた。腕が切られたのだ。しかし、意識が朦朧として思考がまったく働かないゲツガはいまだそれを理解していない。だが、ポリゴン片が消える音と同時に絶叫する。
「ぁぁぁぁあああああああ!!腕がぁあ!!」
「ゲツガ君!!」
ユキはゲツガの名を叫ぶがゲツガの大きな叫び声によりかき消される。
「さあ、雪乃。これ以上あいつを傷つけたくなかったら誓うんだ。俺の物になると。そうすればあいつを解放してやる。それにな、俺はお前を洗脳したくないんだ」
玖珂はそう言ってユキの手を取る。
「ぁぁぁあああ……やめろ……お前が……ユキに……触れて……言いと……思って……んの……か……」
そう言うと玖珂の動きが止まり、こちらにゆっくりと振り向く。
「相変わらずうるさいハエだな。いい加減黙れよ」
そう言って、再びギロチンの刃を出現させるとゲツガの残っている手足を切り落とした。
「あああぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁ……」
ゲツガは叫び声を上げたがすぐにもう、その力も尽きたのか頭を下げた。
「ゲツガ君!!」
しかし、ユキの言葉をかけてもゲツガはピクリとも動かない。そして、ゲツガの体はポリゴン片に変わって消えていった。脱出したのではない。玖珂によって閉じ込められているのに脱出することは不可能。つまり、死んだということになる。
「やっぱり、この世界でも痛みのあまり死ぬことがあるのか……実験結果は申し分ないな」
人を一人殺した
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