暁 〜小説投稿サイト〜
ヴァレンタインから一週間
第16話 彼女の和室で眠るのは?
[8/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の立ち会いの元、時間凍結の解除を行うのなら、有希自身が管理するのも、水晶宮が管理するのも、大きな違いは有りませんから。

 但し、交信が回復した後の情報統合思念体が、どう言う態度で出て来るか判りませんけどね。
 もっとも、現在の状況。情報統合思念体と有希の交信が途絶えて、二十四時間以上経っているはずです。それまでの間に、彼女と思念体の間の交信が回復していない以上、そのキョンと朝比奈みくるに施された時間凍結は、俺が現れなければ既に解除され、事態はもっと厄介な方向へと流れていたはずです。
 つまり、既に思念体が、そのキョンと朝比奈みくるの身柄を拘束し続ける根拠と成って居る、彼ら自身が庇護を求めて来た、と言う部分も白紙に戻されているはずです。

 それでも尚、和田さんの申し出は、この和室に眠る二人の身柄を預かった上に、更に、彼らが覚醒するまでの間、自分たちも一切の手出しをしない事を約束した上で、彼ら二人が覚醒する時に、思念体サイドの代表の長門有希に立ち会う事を約束したのです。

 ここまで譲歩した提案を却下するだけの権限は、今の有希にはないでしょう。

 この時間凍結された二人に関しては、その正体が何者で有ろうとも、水晶宮及び、思念体が管理し続ける限りは、今年の七月七日までは現状を維持され続けるのですから、彼らの目的が本当にハルヒやキョンの監視だけならば、何も仕掛けて来ない可能性の方が高いはずですし、現状が維持され続ける限り、無理に奪還しようとするとも思えませんから。


 その有希の答えの後に続く沈黙と言う名前の空白。そして、その空白の時をまるで埋めるかのように漂って来る良い匂い。
 この食欲を刺激する香りは、この探偵事務所の奥に有るキッチンから漂って来る、昼食を作っている……。

 成るほど。もう、そんな時間ですか。ならば、そろそろ御暇する時間でしょう。
 ……いや、別にこの探偵事務所の奥に有るキッチンから漂って来ていた良い匂いに、腹の虫が反応した訳ではないとは思いますが。
 多分……。

 それに、そろそろ頃合いでしょう。今日は昼からも忙しいですから。

 俺は、昨日の図書館で出会った少女の挑むような瞳を思い出しながら、少し苦笑のような形で口を歪めた。
 彼女が森の黒山羊の因子を植え付けられているかどうかは判りませんが、会う約束を交わした以上、彼女の顔を見に行く必要は有りますから。

「それでは、私と有希はそろそろ御暇させて頂きます」

 俺は、水晶宮の長史と、万結。そして、有希の膝の上で眠る黒猫のソノにそう挨拶をする。
 それに、事務所の奥に消えたまま、顔を出そうとしない瑞希さんが居たのですから、この昼食の準備をしているのは、彼女と、彼女の式神たちなのでしょう。

 式神の能力とは、別に戦闘に特化
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ