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ヘタリア大帝国
TURN62 太平洋経済圏その五
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「そういうことで」
「そうだな。それでだが」
「祖国殿達だな」
「それとそれぞれの代表だな」
「こちらからは首相が出る」
 伊藤のことである。
「宇垣外相もだ」
「式典は全てあの人が仕切ってくれたな」
「実によくやってくれた」
 平賀も感心する程だった。
「あの御仁はあれで外交に向いている」
「正直外見からは想像できないですけれどね」
 これは久重自身の言葉だ。
「けれど意外とやってくれるんですよね」
「有り難いことにな」
「そうなんですよね」
 久重は自分の口で平賀の言葉も出す。
「マメですしよく気がついてくれますし」
「勤勉でもある」
 よく勉強してそしてことにあたるのが宇垣である。
「だから外交も出来るのだ」
「ですよね」
「優秀な御仁だ」
 このことも確かである。
「ただ。色々と抜けていたりもするがな」
「まあそれもご愛嬌ってことで」
「そうなるな」
 一つの口で会話をする彼等だった。コーギーはそれを見て猿とパンダ、それに猫にこう言ったのだった。
「久重も器用だよね」
「そうだね。長官の代弁もして自分もだから」
「本当に器用だよ」
「ちょっとわかりにくいところもあるけれど」
 動物達も式典に参加している。これは提督だからだがフェムはその彼等と柴神を見てベトナムにそっと尋ねた。
「普通なんですか?これが」
「日本では普通だ」
 フェムにこう答えるベトナムだった。
「この国はまた違う」
「違い過ぎます」
「しかしフェムも慣れてはいるな」
「はい、そうなってきてます」
 このことは事実だった。フェムにしてもだ。
「面白いですね」
「そうだな。しかしだ」
「しかしなんですか」
「こうした様々な種族、動物も含めて一緒にいられる世界もいいものだ」
 ベトナムはしみじみとした口調で語る。
「実にな」
「祖国さんはこうした感じが」
「そう、好きだ」
 無表情だがこう答えるベトナムだった。
「いい世界だと思う」
「そういえば本当に」
「フェムもいられる」
 言うまでもなくベトナムもだ。
「この世界は誰もがいられる世界だ」
「誰もがですか」
「そうだ。勿論私もだ」
「これまでは私達は植民地とその現地民でしかなかったですけれど」
「変わった、それがな」
「祖国さんは独立国で」
「フェムもベトナム人だ」
 紛れもなくそうだというのだ。
「植民地の人間ではなくだ」
「ずっと。植民地の現地民でした」
「それが変わった、本当にな」
「嘘みたいですね」
 フェムはベトナムと話をしながら微笑みになった。
「こうして国家の代表として会議にも出席できますし」
「しかし現実だ」
「夢じゃなくて」
「その通りだ」
「そうですか」
「わかったら行こう」
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