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こうもり
16部分:第二幕その七
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しますがそれ以上にこの葡萄を愛します」
 すなわちワインは全てに愛される存在だというのだ。その通りである。
「ですから皆様、杯を触れ合わせましょう。そして酒の王を讃えましょう」
「それでは」
「杯を触れ合わせ」
「はい」
 言葉は続く。
「その中でもシャンパンは王の中の王」
「そう、ですから」
 公爵はさらに言う。
「皆さんで、さあ」
「乾杯ですね」
「そうです、去り行く年に」
 ここでそれぞれ思うところが浮かんできた。
「あの時計は残念だったな」
「さて、これからだな」
「全く。刑務所の中で寂しい思いをしているかって思ったら」
「上手く誤魔化せたわね。本当に女優に向いているかも」
「それにしても何でアデーレがいるのかしら」
 だがそんな思いをよそに公爵の音頭で乾杯となる。美酒が人々の喉を潤す。
「さあ、一杯だけでなく」
 公爵はまた声をかけた。
「どんどんやって下さい」
「言われずとも」
「それでは」
 シャンパンが次々に開けられ飲み干されていく。その中で博士が出て来た。
「皆様」
「おお、博士」
「どうされたのですか?」
 皆シャンパンで酔った顔を彼に向けさせた。
「まずは今宵は日々の喧騒を忘れまして」
「はい」
「仲良くやりましょう」
「それはいいことです」
「では私達も」
 その中で伯爵はそっと奥方に近寄る。そして声をかける。

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