SAO編
episode7 こんな自分にできること2
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トレット》。
紙装甲の俺に一撃を耐えさせ、尚且つそれ自体の耐久度もまだ半分以上保っている。見た目には部位欠損になっていないのが不思議な程の大穴があいているというのに。
(リズベット…お前はホント、すげえ鍛冶屋だよ……!)
目をやると、槍が貫通したままの腕から噴き出す、鮮血のような赤いフラッシュエフェクト。『貫通継続ダメージ』だ。通常の攻撃とは比べるべくもなくダメージ量の小さい威力のステータス異常、しかも受けた部位はアバター末端だというのに、俺のHPは二パーセントも減少した。このままではあっという間に俺のHPはゼロになるだろう。
だが。
「シドっ!!!」
「任せろ!!!」
だが、まだ手はある。
すぐさま腰のポーチから回復ポーションを抜き取り、煽る。つい先日にクエストで獲得したばかりの、非売品の現在最高レベルのポーションだ。その回復量は、俺のHPなら五秒で五パーセントというポーション類では驚異的なポイント。
一気に飲み干して空瓶を投げ捨て。
その右手で、そのまま俺の左腕を貫いた巨大な骨の槍を掴む。
新たな獲物を求め抜き取られようとするそれを逃がすまいと、銀色の手袋の手で、握り締める。
「いくぞおおおっ!!!」
放たれる、極大の蒼いライトエフェクトは、俺の持つ無数の『体術』スキルの中で、最大の威力を誇る大技のソードスキル、《デストロイ・ハンド》。握ったその槍から、聞こえるはずの無い、ギシギシと言う響きが走る様な錯覚をもたらす。
と同時に、その灰白色の側面に罅が走っていく。
(……いける)
確信する。このペースなら、例え敵尾骨の耐久値ゲージが見えずとも、このまま砕ききれる。
だが、それは甘い考えだった。
「っ、うおっ…おおっ!!?」
「シドっ!」
「馬鹿、離れろ!!!」
敵の膂力を、見誤っていた。握りしめた《デストロイ・ハンド》、そして《カタストロフ》は、その槍を決して離さない。だが、その貫通された左腕、握り締めた右手をそのままに、まるでクレーンの
ような巨大な力で俺を持ちあげてきたのだ。
あっけにとられる俺、そして側面攻撃の連中の前で、俺は高々と掲げられ。
「ぐおおおおっ!!?」
そのまま槍と一緒に激しく薙ぎ払われた。
嫌な音を立てて風を切った体が数人のプレイヤーと衝突し、そのHPががくりと減少。直接槍を受けたのほどではないがそれでも複数人の体力の二、三割を一瞬で削りとる大ダメージ。勿論、武器となった俺自身のHPも、だ。
敏捷特化の俺のHPは、ほかのプレイヤーと比較すると極端に少ない。
その一撃は一気に致命傷となるだけのダメージとなり、一瞬だけみたHPゲージは既に赤の危
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