第11話
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時はさかのぼる
俺とキリトはその日、武器の素材を集めるために当時の最前線から10層も下のダンジョンで狩りをしていた。当然敵は弱い。退屈なほど簡単な狩りだった。2時間ほどで規定数の素材を集め、そろそろ帰ろうかと思い出口に向かった
と、その時通路を、少し大きめのモンスター軍に追われながら撤退してくるパーティと遭遇した。基本的にパートナー行動しかしない俺から見ても明らかにバランスが悪いパーティだった。5人のうち前衛は盾装備のメイス使いの男1人で後は短剣のみのシーフに根使いに、長槍が2人
全員の体力バーを見ると、このまま何とか逃げ切れる量は残っているが、さらにモンスターをひっかけるとかなり心もとない量しか残ってない
俺とキリトは一瞬、助けるか否か迷ったが、流石に見捨てるわけにもいかず、隠れていた脇道から飛び出す
「ちょっと前支えましょうか?」
キリトがリーダーらしき人物に声を掛ける。俺はその返答を待たずにすでに戦っているが…
「すいません!お願いできますか?やばくなったら逃げて結構ですので」
敵はさっきまで散々戦って鬱陶しく思っていたゴブリンの集団だった。俺はスキルをフルに使って難なく倒していたのだが、何故かキリトは初級のスキルだけで戦っていた
普通俺達のような攻略組が下層のダンジョンを荒らすのはよろしくない。素材やクエストだけならまだいいが、あまり暴れるとすぐに上層からの攻略組によって排除され挙句の果てには非常識プレイヤーの仲間入りとなってしまう。キリトはそれを恐れたのだろう
「キリト!スイッチ!」
自分の前方の敵を全滅させ、苦戦(本気じゃないのはわかっているが)しているキリトに声をかける
ゴブリンの前に躍り出て、黒印を真一文字に切り払う。一撃では足りなかったので、体術スキル≪輪廻≫を使う。このスキルはその場で高速一回転するだけのスキルなのだが、その時に装備している武器を横に突き出せば、高速一回転切りになる。もちろんダメージ反射もない。その攻撃を受けたゴブリンは1匹を残して全て消え去った
「お前が最後か…」
棍棒を振り上げながらも勇敢に立ち向かってくるゴブリンに情けの一閃を喰らわせ青いポリゴンを散らす
その途端、5人パーティは驚くほど大きな歓声をあげた。次々にハイタッチを交わし、勝利を喜びあっている
キリトは慣れない笑みを浮かべ、差し出された握手に応じている
「あ、あの…本当にありがとうございました!…わ、わたし、こわくて、、そのとにかく…ほんとにありがとう」
目に涙を浮かべてお礼を言うこのパーティの紅一点を見た時俺は、助けられてよかった――と心からそう思っていた
別に今まで助けに入った事がないわけではないが、このゲームがデスゲームと化してからは、助けるのも助けられるのも当然とい
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