SAO編
episode7 こんな自分にできること
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。薙ぎ払われ、突きたてられる尾骨の槍をなんとかかわしながら攻撃を放つ。
そんな中、俺は。
俺がやっているのは。
「クライン!」
「くっ、大丈夫だ、ちょっとフラついただけだ、すぐに俺もいけるっ、く…」
「回復ポーション持ってけ! まだHP注意域だ!」
「うっ、だが……っ…!」
踏み潰され続けたクラインのもとに駆けよってその体を支え、ストレージから取り出した回復用のポーションを手渡す。あれだけの力で連続して踏み抜かれたのだ、数値的ダメージ云々以前に連続した衝撃で脳震盪を起こしていてもおかしくない。
そんな中、俺は。
俺は、攻撃には参加できなかった。
(……クソッ…)
唇を噛む。
戦闘開始直後、俺もこの『敏捷』を生かして突っ込みはしたのだ。だが、恐らくウィークポイント…というか、「ダメージの通る個所」である体節の隙間に《エンブレサー》を叩きこんでさえ、「ダメージが通った」感覚が無かったのだ。
(……クソッ…)
恐らく奴にダメージを与えられる下限的な攻撃力に、俺の攻撃力が達していなかったのだろう。
「…クライン、ポーションは俺がオブジェクト化して持っとく。いつでも手渡せるよう準備しておくから、必要になったらすぐに呼べ。……大丈夫か?」
「うっ…ああ、分かった」
未だに顔をしかめるクラインに、声をかける。
俺に出来るのは、こんな支援ともいえないような支援しか無かったのだ。
クラインから離れ、また骸骨ムカデへと向き直る。相変わらず超人的な力で鎌を捌く三人。そして、重武器の面々が、動かない横腹を次々と打つ。そして何人か、キリト達に次ぐ反応を誇る面々は後ろの暴れまわる尾に立ち向かい、うねりながら襲い来るその槍を捌きつつ、時折見える体節の隙間を完璧なタイミングでソードスキルで攻撃する。
俺は。俺は。
「っ! 避けろっ!」
ソードスキルを放った数人が、その技後硬直で固まっている。ムカデの体がおおきくしなり、そこへと向かって、鋭い長槍の尾骨が真っ直ぐに振り上げられる。あれが突き刺されば、また一人、攻撃特化のプレイヤーが。
飛び込み、一番装備の薄い軽装戦士を弾き飛ばす。
だが、それでもまだ数人はソードスキル後の硬直のまま。
そこに向かって、伸びた槍が、
「ぬううううん!!!」
右下段から鋭く振り上げられた斧に、その側面を激しく打たれた。
赤紫の強烈なエフェクトフラッシュが迸り、一瞬怯んだ尾骨に再びの、左の斬り上げ。『斧』スキルの中でも有数の威力を誇る二連重攻撃、《ヘヴィ・スワロウ》。強烈な衝撃に弾かれた尾骨が、まるで意志をもつように苦々しげに揺れる。
「エギル!」
「逃げろ! これ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ