第0弾 『あんた、アタシのドレイになりなさい!!』
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煮やしたキンジが、疲れた様子で玄関へ歩いて行く。普段はジャンヌが出てくれるのだが、そのジャンヌが自分に客だと言っているので自分が出るしかない。
――で、数秒後にはキンジと“女の子”のやり取りが聞こえた訳ですが。暫くすると、なにやら足音がリビングに聞こえ、一人の少女が姿を現した。
「ん? あんたがこの部屋の同居人?」
ソファーに座るジャンヌを見た、噂の少女の一言目がそれだった。ピンクのツインテールに、高校生とは思えない小さな体型。そして瞳はジャンヌとは対照的な、赤紫
カメリア
色。
この人物が、噂の神崎・H・アリア。冷静に観察しながらも、それをおくびにも出さずに、にっこりと笑い挨拶をした。
「あぁ、初めまして神崎・H・アリア。私の事はジャンヌ……とでも呼んでくれ。キンジから話は聞いている、コーヒーでも出そう。ゆっくりしていって構わない」
「えぇ。そうさせて貰うわ」
ちゃっかり同居人から入室許可を貰ったアリアは、彼女のトランクを玄関に引き摺り入れたキンジには目もくれず、部屋の様子を窺う。そうしてバルコニーの前、夕日が差し込む窓の前で立ち止まったアリアが、クルリとキンジに振り返り――
「――キンジ。あんた、アタシのドレイになりなさい!!」
そう、高々に、ズビシィっと宣言した。それにキンジは――まぁ当たり前のように呆れ果て……と言うより、呆然とした表情になり、彼の後ろでコーヒーを準備しに行こうとしていたジャンヌが、少し振り向き、得意げな笑みを浮かべて、言った。
「――ほらな、ある意味『運命の出逢い』だろう?」
もし、キンジがその言葉をしっかりと聞いていたならば……きっと、そんな迷惑な運命いらねぇよ……とでも言った事だろう。
これは、武偵『遠山キンジ』とその同居人『ジャンヌ』が他の人物と共に紡ぎだす、歪んだ物語の――始まりだった。
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