SAO編
episode7 七十五層、合同討伐隊にて2
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て落下した瞬間生じる、巨体モンスター特有の床振動効果。三人が足を取られ、一瞬その動作が止まる。あわてたままの、逃げようとした姿勢の状態で、だ。
それは、つまりは。
敵に背を向けたままでということ。
「っ!!!」
瞬間、骸骨ムカデの右腕…まるでカマキリのような形状で、鎌の部分だけでも人の身長ほどもあろうという大鎌が、一閃される。その横薙ぎの一撃に、三人が纏めて吹き飛ぶ。
そしてそのHPが、一気に減少して。減少して。
あっけなくゼロになって、ポリゴン片を残して爆散した。
「なっ…」
あの、八十代のレベルを持つだろうプレイヤーが、一撃。
背後からの、しかもクリーンヒットの一撃だったとはいえ、その相当量のHPを、削りきった。
俺と比べると段違いだっただろう、その命の値を、ただ一振りで。
「こんなの、無茶苦茶だわ……」
『閃光』の呟き。呟けた分、まだ『閃光』はマシだった。中にはまるで放心したように固まってしまった奴すらいる。俺もまた同様に、あまりの衝撃に眩暈に似た揺らぎを感じてしまっていた。誰もが、程度の差はあれその異常性に気を取られる、一瞬。
一瞬の、隙。
そして、その隙を、ボスが見逃すはずもない。
「うわああああああっ!!!」
固まっていたプレイヤー達をめがけて猛烈な勢いで突進した骸骨ムカデに、標的となった一団が悲鳴を上げる。声は上げられても、連中の体は…足は、うごいていない。だめだ、早く逃げるか、冷静に盾を構えなければ。振りかぶらた左の鎌は、迎撃の気配の無い一団に向けて振り下ろされ、
「ヒースクリフ!」
ただ一人だけ、隙を見せなかった男…鋭く滑り込んだヒースクリフの持つ十字盾に迎撃され、耳をつんざくような衝撃音を発した。赤い騎士装の『王者』が、冷静な真鍮色の瞳で真正面から骸骨ムカデを見据える。
凄まじい力で打ち込まれただろう左の骨鎌と十字盾が、拮抗した力に小刻みに揺れる。
(「左」の、鎌…っ!?)
気づいた瞬間、俺は敏捷値全開で飛び掛かった。
ボスでは無く、ヒースクリフに庇われた一団に向けて、だ。
「ボケっとすんなっ、にげろっ!」
重装備の男の、その金属鎧の肩の部分めがけて《ムーンサルト・フライ》を繰り出す。ダメージは無に等しいが、その仰け反り効果によって男が壁際まで弾かれ、攻撃範囲…もうひとつの、「右」の鎌の射程から脱出する。だが、周りにはまだ動けないプレイヤーが何人もいる。呆然とボスの巨体を見上げたまま、その右の鎌を眺める。
(……どうする!?)
《スパイクハリケーン》で皆を弾くか?
いや、そうすれば、今度は俺が取り残される。
しかしそれでもまだ俺の方が避けられ
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