暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
SAO編
episode7 七十五層、合同討伐隊にて
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く者にふさわしい風格を醸し出していた。キリトが『勇者』であるなら、この男はさしずめ『王者』か。キリトが敵を切り裂く剣で、ヒースクリフが皆を守る盾。

 おそらく俺が…レベル八十四にして限界に達した俺の…見ることのない、この先のボス戦をこなし、この世界の最後を見届けるだろうプレイヤー達。

 「……なにを弱気になってんだよ、俺は」

 呟く。確かに俺が『攻略組』の一角で居られるのは、もうあと数層分だろう。だが、それでも今は、この敏捷特化を生かした、戦力の一人なのだ。戦える。俺はまだ、戦える。全てのプレイヤーのため…なんてお題目ではなく、俺のために、そしてソラのために。

 俺の頭が、すうっと落ち着いていく。

 いままで経験した数々の戦闘の中でも最も集中した時だけ感じる、独特の熱と、冷静さ。

 ヒースクリフが、掲げ持った《回廊結晶》を開き、その中に入っていく。
 続く赤と白の騎士装のプレイヤー達。

 「さ、いきますか」

 一瞬だけ、左手で顔を覆う。

 その薬指に光るのは、七色の指輪。

 結局ヒースクリフが訪ねてきたおかげで買い取りまでこぎつけられず、先送りとなった、《リヴァイブ・リング》。その輝きに、一瞬だけ目を細めて笑う。なんだかその光に、妙に励まされたような気になったのだ。

 (……まさか、な…)

 その笑顔のまま、俺は回廊結晶のゲートへと飛び込んだ。





 美しく削られた迷宮区の扉。それが果たしてどんなことを意味するのか、片手の指に数えるほどしかボス戦の経験がない俺には分からない。だが、攻略組の面々を見る限り、どうやら愉快なものではないのだということだけはよくよく分かった。

 (……出し惜しみは、無しだな)

 いや、そもそもボス戦で出し惜しみも何も無いのだが。

 メニュー画面を開き、装備を一式出す。つい昨日、『黄泉への案内人』相手に戦ったのと同じ、俺の最強装備。足のブーツは、移動補正と『体術』スキルの一部…足技にボーナスの入るモンスタードロップ品。纏う紺色のハーフコートと黒のズボンは、『隠蔽』だけでなくかなりの敏捷補正と貫通、刺突攻撃に高い防御力、そして『軽業』の上位スキル同様に相手Mobの視覚情報を困惑させる効果がある。

 そして、右手には、銀色の布地に俺には読めない文字の入った、《カタストロフ》。左腕には、燃え盛る火焔のような輝きを放つ、《フレアガントレット》。薬指に、《リヴァイブ・リング》。

 全ての装備を装着し、前を向く。そしてもう一度メニュー欄を見る。

 (……こりゃ、慣れねえな…)

 そこにある、今までの極貧暮らし(完全に自業自得だが)が嘘のような、巨額のコル。そして、俺には使えない武器…《フラッシュフレア》。あのアル
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