13部分:第二幕その四
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せないのは内緒だ。
「安心し給え」
「だといいんだがね」
伯爵はそれを言われても半信半疑であった。
「まあ信じよう」
「友人を信じないで誰を信じるんだね?」
「それもそうだね」
とりあえずは信じることにした。
「それじゃあ」
「うん。ではその時はね。安心しておくんだ」
「では安心しておくよ。しかし」
「しかし?」
「本当に変わった宴だ」
彼は今それを実感していた。
「この街は色々な国から人が集まるけれどそれ以上に思えるよ」
「そういう運命なんだろうね」
「運命!?」
「そう、運命なんだよ」
博士は思わせぶりに笑って述べる。
「君がここに来たのもね。運命さ」
「そうなのかね」
「まあ運命を楽しむことだ」
そのうえで博士は言った。
「いいね」
「わかったよ」
「一人美女をお招きしているしね」
「美女を」
それを聞いた伯爵の目の色が一変した。
「美女をかい」
「うん、ハンガリーのさる旧家の伯爵夫人でね」
「僕の妻と同じか」
「まあ違うのは生まれた場所だけだね」
そう言って伯爵夫人である彼の妻に例えてきた。これまた思わせぶりに。
「ただ、事情があってね」
「ふん」
「仮面を着けているんだ」
「仮面を!?ということは」
伯爵はそれを聞いて述べた。
「やんごとない事情のようだね」
「まあそれはね。聞かないで欲しい」
「わかったよ。じゃあ」
伯爵はその言葉に頷いた。
「そうさせてもらうよ」
「うん。じゃあ呼んで来るから」
彼と一旦別れた。
「じゃあね」
「期待しているよ」
そのまま暫し宴を楽しむ。そしてそこに仮面を被った白いドレスの貴夫人が現われた。よく見れば誰あろう、奥方であった。何かあるようであった。
「ようこそ」
「お招き頂いて」
「アデーレ嬢にも誘われたそうで」
「はい。それで元々こちらにお伺いするつもりでしたが」
歌理は宴の場でこっそりと話をしている。誰もそれに気付きはしない。
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