第十二話 閃光と神父と弓兵と
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ムという存在でこの聖杯戦争で監督役を務めている。
簡単にいえばマスターとなったプレイヤーをサポートする立場にある。右も左もわからず聖杯戦争に参加することになってしまったマスターは、どんな行動を取るか分からんからな。
そして、私は茅場晶彦によってこの聖杯戦争での全権は私に委ねられている。
所詮NPCであるためそこまでの権限はないのだが、何らかの問題があった場合は私に判断するよう指示されている。
万が一の事態にはプレイヤーのマスター権限を剥奪することもあるが、そう滅多には無いであろう」
この男が全権を握っている?
こんな男が聖杯戦争を監視しているとなると、私は奇妙どころか、異常性を感じた。
私はそれについて聞きたかったが、それ以上問いを投げることを止めた。
一刻も早くこの場所からは立ち去りたかったからだ。
「ありがとうございました。……それじゃあ今日はこれくらいで失礼します」
弱々しく声を出す。
この男は危険だ。
そう私の中で警鐘している。
この男は私を見て心底嬉しそうに心の底から笑っている。
そんな感じがした。
私は彼から背を向けると、教会から出ていこうと扉へと足を運ぶ。
「帰り道には気をつけたまえこれより君の世界は一変する。君は殺し殺される側の人間になった。その身は既にマスターなのだからな」
私の背後にそのような言葉が投げかけられた。
だがその言葉だけで全身から鳥肌が立つような錯覚を覚えた。
私は一刻も早くその場を立ち去るため扉に手をかけると外へと飛び出した。
教会から離れるにつれて今まで感じていた気持ちの悪い感覚は幾分かマシになった。
正直もう二度とあの教会へは足を運びたくない。
そんなことを思いながら私は転移門に向かって歩いていた。
『…………』
すると、いつの間にか霊体化していたアーチャーの妙な気配に気づく。
アーチャーは教会にいる時、ずっと黙っていたのだが明らかにコトミネを睨むつけていた。
今も黙りっぱなしで正直雰囲気が悪い。
「どうしたのよアーチャー、なんだか怖いわよ」
私は意を決して尋ねてみた。
『…ん、いや何でもない。ただあの男についてな―――』
「何か気になったの?」
『―――――正直分からんが、何やら不穏な感じがしてな…。マスター、あのコトミネという男、あまり信用しない方がいい。十分に警戒しておけ』
アーチャーはそう言うと再び黙ってしまった。
あの男、確かに話していても良い気分はしない。
泥水の濁ったようなあの眼は私を品定めしているような、そんな感じ。
「うん―――とりあえず注意はしておく」
私は一応返事はしておくが、あの男とはまた会う気がする
二度と会いたくはないけど。
兎に角、あの男について
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