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第十二話 閃光と神父と弓兵と
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かった声の主が居るのであろう?」

そう言うが私はこの不気味な雰囲気に気圧されてしまってなかなか一歩が踏み出せない。

“進みたまえ。私は君の目の前にいるぞ”

突如あの声が響いた気がした。
私はその声に一瞬驚きながらも、何度も聞いたその声に耳を傾ける。

“君の知りたい真実が目の前にある。知りたいと思うのならば進みたまえ”

再び声が響く。
聞き間違えじゃない。

「マスター、どうするのだ。進むのか、それとも引き返すか?」

アーチャーは私にそう問いかける。だが私の意思は既に決まっていた。

「進む。そこに私が知りたいことがあるのなら」

私はそう言うとゆっくりと歩を進める。
アーチャーは苦笑しながらも、私の後に続くように付いてくる。
正直あの教会には近づきたくなかったが、私はどうしても気になってしまったのだ。
私に付きまとい言葉を投げかける空の声の主を。
それを知るため私は教会の扉のドアノブに手をかけゆっくりと扉を開いた。

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そこはいたって普通の空間だった。
何の面白みもなく、かといって何もないわけではない。
広く開放的な空間の正面には祭壇がありそして周りを数本のろうそくが弱々しく照らしている。
それだけでここは教会であると認識させられる。

そして視線を前に移すと、祭壇があり、その前の空間に一人の人物が私に背を向けて立っていた。
私は思い切って祭壇の方へ歩いていく。
古びた床板がギシギシと音を立てる。

その音に気付いていないのかその人物は全く動かない。
近づくにつれてその影の持ち主が読み取れてきた。
性別は男性、細身だががっちりとした体格である。

「ようこそ少女とそのサーヴァントよ。私は君を歓迎する」

私がその人物からあと三メートル程というところで、急に男が口を開いた。
そしてゆっくりと此方に向き直ると私の目を見つめた。
外見は三十代半ばで身長も180cmを超えている。
私は見上げるようにその男の顔を見るが、正直あまり見たくはなかった。

泥水の濁ったような眼をしており、そして何やら嫌な笑みを浮かべている。
決していやらしくはないのだがなぜか不快感を覚える。
カソックを着ているのだがとてもじゃないが神父には見えない。

「私の名前は言峰綺礼。此度の聖杯戦争で監督役を務めさせてもらっている」

男は淡々とした口調で自己紹介をすませる。
男は私、そしてアーチャーの順に視線を動かしそして口を開き、

「ふむ、やはり最後の一体はアーチャーであったか。これでサーヴァントがすべてそろい、聖杯戦争の幕が上がったというわけだ」

男はそう言うと嬉しそうに口を歪める。

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