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とあるβテスター、奮闘する
投刃と少女
とあるβテスター、戦慄する
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るなら、ここに残るのが一番いいと思う。でも、僕は」
でも、僕は。
このままここで現実に帰れる日をただ待っているだけなんて、とてもじゃないけどできそうにない。
ただでさえネガティブ思考が加速する、悪い癖があるんだ。
もしも、ここで誰かがゲームクリアしてくれるのを待ってるだけだったら。きっと不安に押し潰されそうになって、一人で気が狂ってしまいそうだ……。

「僕は、強くなろうと思う。一緒にきてくれると心強いけど、もちろん無理にとは言わない」
まだ信じられないようなこの状況で、一人でいるのは戦力的にも、精神的にもかなり心細い。
それに、シェイリを……SAOで初めてできた友達を置き去りにするということも、できればしたくない。
かといって強引に連れて行くというのも、それはちょっと違う気がする。
もしそんなことをすれば、それは僕の勝手なエゴだ。本人が望まないレベル上げを無理矢理やらせて、生き残る確率を多少上げたところで……彼女がそれを望まないのであれば、僕の勝手な自己満足に他ならない。

───だから……

「だから、シェイリはどうするのか聞いておきたいんだ。レベル上げをする気があるなら、僕と一緒に行こう。でも」
こんな状況で決断を迫る僕は、きっと卑怯なんだと思う。

「戦うのが怖いなら、ここに残ったほうがいい。僕もできる限り君を守るつもりだけど、絶対にとは言い切れないから……」
僕はこれから彼女にどうして欲しいのか。僕自身の望みを彼女に求めることの、その責任を背負い切れる自信がないから。
『彼女が出した答えだから』という、自分自身に対する言い訳が欲しかったのかもしれない。
それが危険を伴うことだとしても、置き去りにすることだとしても───

「ユノくんは怖くないの?」
「………」
僕が言いたいことを言い終えるのを待って、それまで無言だったシェイリは、僕の目を真っ直ぐに見ながら問いかけた。
「死ぬのが怖くないの?」
問いかける声は気の抜けるようなものではなく、硬く、真面目な雰囲気を纏っていた。
常にへらへらと笑っていた彼女と同一人物には思えないような、真剣な表情。

「……怖いよ。怖いに決まってる」
怖いか怖くないか、そんなことを聞かれれば。答えは決まってる。
この状況で何も感じることなく遊び感覚を続けられるとしたら、そんな人は恐怖を感じる心が欠如しているとしか思えない。
あるいは。

───そのくらい何も考えずにいられたら、逆に楽なのかな?

一瞬そんな考えが頭を過ぎった自分に対し、内心で苦笑い。
そんな生き方ができるくらいなら、こうして頭を悩ませる必要もなかったんだろうけど。

と、そんなことを思っているうちに。

「そっか〜。ユノくんも怖いんだね」
たった今まで真剣な表情をしていた
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